突然ですが、僕は母の主治医に不信感を抱きながら結局転院できなかった人です。
転院したかったくらいですから、当然主治医と信頼関係は一切ありません。
この医師の治療方法や接遇態度には、悪意すら感じることがあったので転院については相当調べています。
僕のように、主治医と相性が悪くて悩んでおられる方もおられるのではないでしょうか。
今回は、主治医の医療処置や接遇態度に、不信感を募らせてきた僕の経験を振り返りたいと思いますので良かったら参考にしてみてください。
■目次
患者は主治医を選べない
仮に入院が必要な病気になったとして、大半の方は病院に行って初めて自分の主治医になる人を見ることになると思います。
また、お目当ての医師がいても病院にコネがない限り、患者が主治医を選任できないのが実情です。
なので、良い主治医に巡りあえるかどうかは運次第!
長年、主治医の悩みを抱えてきた僕としては、主治医と良いご縁を持てた人はうらやましい限りです。
問題は、一度決まってしまうと患者の意思で主治医を替えることが困難なこと。
例え、主治医と相性が悪くても、患者の意思や意向が容易に反映される仕組みが病院には無いのです。
病状の軽い通院レベルなら、診察の曜日を変更して医師を替えることもできるかもしれませんが、症状が重かったり在宅医の交代となるとそう簡単にはいかないと思います。
僕の場合、病院を替えたかった訳ではありません。
主治医だけを替える方法が分からなかったので、転院するしかないと思っていました。
患者の不安をあおる主治医の接遇態度
「この病状では、長生きできないね」
「不満があるなら違う病院に替わればいいけど、何かあってもこの病院には戻っては来れないよ」
主治医が、母に言った言葉です。
よもや医師とは思えない言動の数々・・・
内容が、陰湿すぎます。
母が、1人で通院していた頃なので10年以上前のことになりますが、よくこんなことを言われたとこぼしていました。
大腿骨骨折により、大学病院に通院できなくなってもうすぐ4年。
直腸がんの手術をしてからの付き合いなので、実に17年のあいだこの医師にかかっていたことになります。
僕がこの主治医と関わったのは、母が要介護になった9年前からなので5年ほどですが、母から小言を聞いていただけに良い印象は持っていませんでした。
主治医に不信感を強く感じたのは説明不足
主治医に、不信感を持つ理由に説明不足を挙げる人は多いと思います。
僕の場合ですが、長らく母の病気について詳しく知りませんでした。
主治医から教えてもらっていなかったからです。
それに今ならネットで簡単に取れる情報も、当時は無かったこともあります。
母が、要介護のきっかけになった「低ナトリウム血症」という病名も5~6年前ネットで知り得た知識です。
9年前、「低ナトリウム血症」での入院当初に、1度だけ主治医に呼ばれて10分程度病状説明を受けたのですが、
- 母のナトリウムの数値が、主治医が経験したことのない低い数値であること。
- 濃度を急激に上げると脳に後遺症が残るので、ナトリウム濃度を少しずつ点滴で補って上げていく。
- もしかすると、このまま亡くなるかもしれない。
後にも先にも、これだけの病状説明しかなかったです。
半年の入院中、長い昏睡状態から覚めたあとも度重なるけいれん発作や錯乱状態など、次々にいろいろなことが起こったので、とても不安な日々を過ごしていたのを覚えています。
主治医に原因を聞いても分からないようでしたし、素人の僕がこれだけ聞いても母に何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした。
母が要介護になるきっかけとなる「低ナトリウム血症」について
9年前のある日、母が突然、意味不明のことを言い出して即入院。
宇宙語のような意味の分からないことを言い出したら脳梗塞の予兆らしいのですが、母の場合は「低ナトリウム血症」という名の病気が原因でした。
ナトリウム、いわゆる体内の塩分が欠乏することによって引き起こされる病気です。
低ナトリウム血症の原因は、大量の水分摂取、激しい下痢、腎不全、心不全、肝硬変、利尿薬の使用などで、ナトリウム濃度が低下することによって発生するとのこと。
母の場合、おそらく大腸がんにより大腸を全摘出していることによって便が常に下痢状態なのが災いしてナトリウムが体内から流れ出ているのではないかと考えられます。
もし、1分かからず読める上記の内容を、当時知ることができたらどんなに救われたことでしょう。
トラブルだらけの処置の数々
低ナトリウム血症発症後は、生理食塩水にカリウムを注入した輸液を週3回点滴で補う生活が現在も続いています。
これまでに、この点滴を巡ってたくさんのトラブルがありました。
主治医が、何の根拠もなく点滴を休止して悪化させたこともあります。
日常生活に戻すため、点滴しなくて済むようする処置だということは理解できます。
しかし、原因が分からないうえに後手後手の対応の末、ようやく回復してきた病み上がりの状態に・・・
点滴を止めないで欲しいという僕の訴えを無視して2度強行。
裏目に出たというべきか、なるべくしてなったというべきか。
結果的に低ナトリウム血症に再度なってしまい、一番恐れているけいれん発作を何度も引き起こしてしまいました。
けいれん発作を引き起こすと、その日は会話や食事をするにも食べ方が分からないほどのダメージを母に与え2~3週間は絶対安静状態になります。
母が、脳と右手に後遺症を残して要介護になったのは主治医のせいだとは言いませんが、半年の入院を余儀なくされ、症状を悪化させたのは主治医に問題があると僕は思っています。
その後も、点滴の中身を間違って在宅医に引き継いだり、院内で申し送り忘れがあったりと信じられないことが続きます。
主治医の不審な態度
9年前、在宅介護が始まって3日目の早朝の異変には本当に焦りました。
「何かが来る!来る!」
母が口走って、次の瞬間には白目をむいて「ムンクの叫び」のような表情なのですから怖すぎます。
119番するしか手立てがありませんでしたが、ちょうど出勤前でしたので本当に良かったです。
不可解なのは、1度は大学病院に搬送されるも、なぜかすぐに違う病院に転院させられたこと。
まさか、在宅医に点滴の中身を間違って引き継がれるとは思っていませんでしたが、異常を感じた僕は母の入院後すぐに主治医に面会を申し出ています。
今から思えば、間違いに気づいた主治医がさすがにまずいと思ったのでしょうか!?
それとも、退院したばかりの患者が、たった3日で逆戻りすると院内で不都合でもあったのでしょうか!?
結局、母は転院させられた病院でさらに1ヶ月の入院をしなければなりませんでした。
その後も母の苦難は続く
数年のちに、入院中の大学病院でけいれん発作を引き起こしたことがありました。
週3回点滴さえしていれば、ならないはずのけいれん発作。
在宅ではならないのに、入院した途端になぜなる!?
しかも、腸閉塞で入院しているのになぜけいれん発作!?
最後のけいれん発作から2年は経っているに、訳が分かりません。
主治医に面会を申し出るも、看護師の冷たい対応。
取り次ぐ暇もない感じです。
原因を知りたいだけなのに・・・
腸閉塞で入院したはずの母が会話もままならなくなった姿を見て、さすがに文句の1つも言いたかったですが主治医に面会すら叶いませんでした。
驚くべきことは、全く同じことが2度繰り返されています。
まあ、申し送り忘れで点滴していなかったなんて言えないでしょうが、本当に勘弁してほしいです。
意を唱えればクレーマー扱い!病院が完全アウェイに
腸閉塞での、入院中に起こったけいれん発作!
この頃になると主治医のずさんな管理能力も分っていたので、最初から点滴を忘れているのだろうと疑ってはいました。
今後も診てもらわなければならない弱みがあるだけに、関係を悪くしたくないという思いはありましたが、改善してもらわないと後々母の身が案じられます。
なので、主治医の代わりに病室に訪れる若い医師に、なぜけいれん発作が起こったのか顔を見るたび何度もしつこく聞いてしまいました。
「主治医と面会できないのなら、医院長を呼んで下さい。」
「けいれん発作を起こした原因を教えてもらえないなら、出るとこに出る。」
反省すべきことは、最後にこの言葉を言ってしまったことです。
その後、病院の対応が明らかに悪くなりました。
特に、緊急での受け入れをしてくれなくなったのは気のせいではないと思います。
予想通りの回答と引き換えに、得たものは何も無かったですね。
改善をして欲しいだけなのに、一個人の声が届かない・・・
問題が発生して支障が生じても、主治医が隠ぺいできる環境。
医療ドラマでありがちな、風通しの悪い古い体質の病院だとは思っていました。
分かってはいましたが、泣き寝入りさせ続けられて思い知らされました。
一個人が声を上げても、状況は何一つ変えられずもみ消されるだけです。
しかし、僕の価値観や感情はこの際顧慮に入れないとしても、この状況では先が思いやられます。
在宅医を替えて状況が改善
状況が変わったのは、6年前に在宅医を替えから。
先に3年間お世話になった開業医は、母の介護度が進むにつれて継続が厳しくなりました。
このとき替えた病院は、今もお世話になる地域密着型の私立の総合病院です。
現在、在宅介護を継続するために必要なサービスは、すべてこの病院が運営している診療所や訪問看護ステーションにお願いしています。
緊急を要するときも、僕が訪問看護師に連絡をすれば在宅医や病院に連絡してくれ、大学病院にも働きかけてもらえるので確実に声が届いてしかもスピーディです。
この病院が、中間の立場で僕と大学病院のあいだを取り持ってくれるようになったのでかなり気持ちが楽になりました。
おわりに/身体の自由があるうちに転院しておかなかった後悔
視力障害、骨粗鬆症、それに低ナトリウム血症。
どれも原因は、慢性的な栄養失調が長年続いた結果だと今は分かります。
それに栄養摂取が困難な原因の1つに、甲状腺という病気も災いしていたのですが長年見過ごされていたのも悔やまれるところです。
定期的に通院していたのに、ちゃんとメンテナンスしてくれていたら・・・
という思いは強いです。
4年前、母が大腿骨を骨折したのを機に、大学病院の主治医との関わりは無くなりました。
通院できなくなって、これまで大学病院が担ってきた診察や薬の処方を、在宅医にお願いして私立の総合病院に完全にシフトできたからです。
現在の在宅医は、優しくて頼れる存在です。
人としても、尊敬しています。
もし、最初からこの在宅医が主治医であれば、母はこんな不自由な身体にならなくて済んだのでは!と思わずにいられません。
低ナトリウム血症とは
血液中のナトリウム濃度が、非常に低い状態をいいます。
低ナトリウム血症の症状
脳は血液中のナトリウム濃度の変化を特に敏感に感じ取ります。そのため、反応の鈍化(嗜眠)や錯乱といった脳機能障害の症状が最初に生じます。血液中のナトリウム濃度が急に下がると、症状が突然現れ、重症化する傾向があります。高齢者では重症化する可能性が高くなります。
低ナトリウム血症が重症化すると、筋肉のひきつりやけいれん発作が生じます。やがて反応が鈍くなり、強い刺激を与えなければ目を覚まさなくなって(昏迷)、ついには完全に反応できない状態(昏睡)に陥ります。死に至ることもあります。
重度の低ナトリウム血症は緊急事態です。この治療では、薬剤、輸液、またはその両方により血液中のナトリウム濃度をゆっくりと上昇させます。濃度を急激に上げると、しばしば恒久的かつ重度の脳損傷が起こるためです。 MSDマニュアルより引用