「要介護認定調査」の仕組みと手順!適切な要介護度を取得するための6つのポイント




要介護認定調査は、介護保険の利用限度額、通所サービスの利用料、その他にも特養など施設の入所条件にもかかわる重要な手続きの1つです。

円滑に適切な要介護度を認定されるのに越したことはありませんが、そのためにはそれなりの準備をしておいた方が良いかと思います。

今回は、要介護認定調査の前に、事前に準備しておくべきこと、注意点やコツなど、はじめての方にも参考にしていただけるように心がけてお伝えしますので参考にしてみてください。

 

要介護度認定・要支援認定の更新手続きの流れ

介護認定調査とは、要介護認定申請をしたあとに行われる聞き取り調査のことです。

要介護度を決定するために、本人や家族に聞き取りを行い要介護者の心身の状態を確認します。

 

更新手続きの流れ

現在、すでに介護サービスをご利用の方については更新の手続きが必要です。

母の要介護認定の有効期間は、2年おきの8月31日に切れるサイクルです。

毎回、7月初頭に市役所から要介護認定の更新手続きの通知が届きます。

  1. 通知が届けば、市役所に出向き申請(必要なもの:介護保険被保険者証・認定申請書)
  2. 調査員から電話があり訪問日時の調整
  3. 調査員が自宅に訪問。聞き取り調査を受ける
  4. 主治医が自治体へ「主治医意見書」を提出する
  5. 要介護度が決定、通知される

 

本人又は、ご家族が行うことは3までです。

その後の流れとしては、市区町村の依頼で主治医が意見書を作成。

聞き取り調査の項目(74項目)と特記事項からなる調査の後、コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定を経て、要介護度が決定され申請から30日以内に通知されます。

 

余談ですが、要介護認定更時に介護サービスの利用予定がなければ更新をしなくて構いません。

必要時に、新たに手続きをすれば大丈夫です。

初めて、要介護認定を受けられる方は、電話などで相談して市町村の担当窓口に申請に行ってください。

その後の、要介護認定までの手続きの流れは上記の更新手続きと同じです。

 

「要介護認定調査」で聞き取りされる内容は?

厚生労働省作成の、マニュアルに沿って聞き取りされるので毎回質問の内容は同じです。

聞き取り調査の項目(74項目)は、要介護者の5つの基本調査項目からなります。

1.身体機能・起居動作

●麻痺の有り無し、関節の動きの制限 ●寝返りや起き上がりが可否 ●立位、座位を保てるかの可否 ●視力、聴力など

2.生活機能

●移乗や移動の動き ●食事の介助の必要度 ●排泄、排便が自力でできるかどうか ●歯磨き、洗顔、整髪 ●衣類の着脱・外出の頻度など

3.認知機能

●意思の伝達 ●名前、生年月日、年齢を言えるか ●居場所の理解 ●今日の食事など短期記憶 ●徘徊の有無など

4.精神・行動障害

●物忘れの程度 ●情緒不安定 ●被害妄想や作り話をする ●昼夜逆転 ●同じ話ばかりする  ●突然大声を出す ●物を破壊するなど

5.社会生活への適応

●薬の服薬 ●金銭管理 ●集団行動の可否 ●買い物 ●簡単な調理 など

 

生年月日や名前を尋ねられたり、覚えておいてくださいと持ち合わせのボールペン、メガネ、時計、消しゴムを出されて、10分後に覚えているか短期記憶ができるかも確認されます。

 訪問調査は聞き取り以外にも、ご本人の能力を知るために実際に体を動かしてもらって動作もチェックします。

これらの項目の意図は、介護者にどの程度の支援が必要なのかを判断するためです。

 

要介護認定を正しく判定してもらうための6つのポイント

母の要介護度は、2年に1度見直しされ、その都度更新してきました。

ちなみに、これまでの要介護度は3→2→3→5→5。

下記は、これまでの経験を基に事前に準備していることや気を付けている事柄です。

  

1.必ず状況を把握している家族が立ち会う

要介護認定調査に立ち会わなかったことが、1回だけあります。

それは、2度目のとき。

代わりに父親に同席させたのですが、要介護3→2に軽くなって、まさかの結果に不満があったのは言うまでもありません。

前回よりも、あきらかに母の身体機能は後退しているのに「なぜ?」という思いが強かったからです。

今から思うと、最初の要介護度は2と3どちらでもおかしくなかったように思いますが、父親がちゃんと母の身体能力を伝えていたなら2度目の要介護度は2ではなく3の現状維持だったかもしれません。

まあ、父親は何1つ母親の介護に携わっていないので、本当に付き添っていただけだったと思います。

当時は、普段の様子の聞き取りが重要な要素だということや、付き添う家族の役割が大きいということも知らなかったので当然の結果と言えばそうなのですが・・・

調査員に、どの程度の支援が必要なのか把握してもらうことが目的である以上、普段介助をしているご家族が立ち会うことが正確な判定につながるということを知っておいてください。

 

2.認定調査の質問項目を事前に確認しておく

「現在受けているサービスや、施設の利用状況を教えてください。」

このような質問をされて、ぱっと答えられる人の方が少ないのではないでしょうか?

要介護認定調査の所要時間は、40~50分くらいです。

限られた時間で50以上の項目をチェックするのですから、矢継早に聞き取りが行われていきます。

結果的に、思っていることが伝えきれないことにもつながってしまうので、どんなことを聞かれるのかについて、あらかじめ質問項目に目をとおしておくのが得策です。

幸い、厚生労働省のWebサイトに認定調査員が調査を行うための研修マニュアルが公開されています。

マニュアルの後半に、実際の調査項目票が掲載されていますので是非ご確認ください。(厚生労働省/認定調査員テキスト)

 

3.ケアプランや身体障害者手帳を準備しておく

僕は、ケアプランや身体障害者手帳を状況に応じて提示できるように準備しています。

現在利用しているサービスや、施設や介護レンタルの利用状況などケアプランがあると一目瞭然、調査員も状況を把握しやすくなります。

身体機能の確認時も、先に身体障害者手帳を提示しておけば、お互い手間が省けて伝え忘れも防げます。

 

4.ありのままの現状を伝える

いつもは、無口で物静かな母親。

聞こえているのかいないのか、僕のイライラも募るばかりです。

しかし、調査員の質問には、はっきり受け答えしている普段と違う母がそこにいるではありませんか!

内心、ちゃんと聞こえてるやん!とツッコミたくなります。

息子の僕が、ビックリです。

さすがに、動かない右足を上げることや、麻痺している右手を動かしたりはできませんが、それでも小刻みに手足を震わせながら調査員の問いかけに応えようと必死にやろうとしています。

おそらく、母親はできないと恥ずかしいとでも思っているのでしょう。

 

このように普段できないことも、調査員の前ではできてしまったりすることもあります。

要介護認定を受けるにあたって大切なことは、ありのままの身体能力を調査員に知ってももらうことです。

しっかり現状を伝えるために、日頃からどのような介助を行っているのか、当日の様子だけでは分からないことも伝えることが大切です。

 

5.困っていることや心配事があればできるだけ具体的に伝える

上記の聞き取り内容以外に、困っていることがあれば特記事項として記入してもらえます。

特記事項は、要介護レベルを審査する際の判断材料になるので重要な項目です。

例えば、僕が今回調査員に伝えたことです。

  • 点滴をする週3日は、尿量が多く尿モレで困っている。
  • 水様便のため、ストーマパウチが剥がれやすい悩みを抱えている。
  • お姫様抱っこする以外に車いすに移乗する手段がないので、腕や腰に負担がかかり痛めている。

 

補足すると、シーツまで濡れる尿モレは、着替えから洗濯までしなければなりません。

それに衣服の着脱の介助って、見た目以上に大変な作業なんですよね。

それが嫌なので、尿モレを起こしやすい点滴のある週3日は、夜中に1・2度チェックをしておむつ交換をしていますが、それでもモレるときはモレます。

また、ストーマ装具のパウチがモレると、パウチを張り替えなければならないので大仕事です。

さすがに、長年張り替えをしているので手慣れたものですが、それでも40分はかかります。

しかも、1回あたりの交換費用が1.000円かかるので結構凹みます。

このように、項目に該当しない事でも心配事や困り事は遠慮なく伝えましょう。

 

6.主治医にも現状を知ってもらう

要介護認定は、調査員による調査結果と主治医の意見書に基づいて判定されるので、主治医に現状を知ってもらうことも重要な要素になります。

母の主治医は、月2回訪問診療に来てくださる在宅医です。

同時に内科医でもあるのですが、母に異変があれば例え専門外の症状であっても診てくださってどうすれば良いか的確に指示をいただけます。

普段から、全体を診て把握していただいているので、要介護認定調査だからと言ってそれについて話したこともありませんし全幅の信頼を寄せているのでお任せです。

 

ただ、専門外のことには感知しない医師もいるので、そんなときは現状を知ってもらわなければなりません。

在宅介護を始めた頃、4年ほどお世話になった在宅医がまさにそんな感じでした。

訪問診療に来ても、付き添いの看護師にバイタルチェックだけさせて自らは何もせず、いつも5分くらいで帰ってしまっていたようでしたのでどこまで把握してもらえているのか全く分からなかったです。

当時は、僕も働いていたので訪問診療に居合わすことができず、コミュニケーションが取れていなかったのも原因かもしれません。

今から思うと、せめて要介護認定前だけでも訪問診療に居合わせて、その時々の母の現状を伝えた方が良かったのではないかと反省しています。

 

おわりに

適切な要介護度を得るために、事前の準備やコツ、注意点をまとめてみましたがいかがでしたか?

要介護認定調査は、調査員にどの程度の支援が必要なのかチェックしてもらうためのものです。

ただ、現状を知ってもらうそれだけのことですが、調査対象が母親だとしても正確に伝えることは難しいものだとつくづく感じています。

最後に、以前の記事をなぞりますが、要介護認定調査は「頻度」と「手間」を伝えることがポイントです。

毎日なのか、週1回程度のことなのか、どのくらい大変なのかを細かく具体的に伝えるようにしてください。

伝え忘れを防ぐためにも、普段の介護についてどの程度の介助や手間が生じているかをメモにまとめておきましょう。

 

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シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。