「身体障害者手帳の申請・取得の方法」を詳しく解説!適切な等級を取得して支援を受けよう




身体障害者手帳を取得する理由は?

働くために、障害者雇用枠で応募したいから。

更生医療を受けるため。

公共料金の割引や、税金の減免を受けたいから。

 

その他にも、障害者福祉サービスの利用や補装具費の助成など、人それぞれあると思います。

確かに、これらの医療や福祉サービスを受けるには、身体障害者手帳を提示して障害者として証明しなければなりません。

言い換えるなら、たとえ身体に障害があったとしても身体障害者手帳を取得していなければ、行政からの支援が受けられないということになります。

今回の記事では、身体障害者手帳の申請・取得の方法と適切な障害等級について詳しく解説します。

 

身体障害者手帳とは

身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法に定める身体上に障害がある人に対して交付される手帳です。

 

その目的は、障害者の日常生活のサポートや経済面を支援して自立した生活や社会活動への参加を促すことにあります。

支援の内容は、1から6級までの障害の等級にて区分されています。

ちなみに、障害等級は7級までありますが7級にあたる障害は単独では身体障害者手帳の交付対象とはなりません。

7級の障害が2つ以上ある場合や、7級の障害と6級以上の障害が重複して存在する場合が交付対象です。

身体障害者福祉法が定める身体障害の認定基準に該当し、その障害が一定以上持続する (障害固定)と認められた場合に取得できます。

 

 身体障害者手帳交付の対象となる方

身体障害者手帳の対象者は「身体上の障害のある18歳以上の者」です。

対象となる障害の種類は、下記の9つの障害になります。

  1. 視覚障害
  2. 聴覚又は平衡機能の障害
  3. 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
  4. 肢体不自由
  5. 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害
  6. ぼうこう又は直腸の機能の障害
  7. 小腸の機能の障害
  8. ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  9. 肝臓の機能の障害

出典:厚生労働省 身体障害者手帳制度の概要

 

いずれも、一定以上で永続すること。

疾病によって障害が永続し、生活動作が不自由であることが取得の条件です。

等級によってどのような分類がされているのかは、疾患別等級一覧のリンクを貼っておきますのでこちらを参照してください(厚生労働省出典「身体障害者障害程度等級表」

 

身体障害者手帳の申請・取得の仕方

ここでは、申請の際の手順や提出物について説明します。

身体障害者手帳の申請は、市区町村の『障害福祉課』『福祉健康課』などさまざまな名称で呼ばれていますが、『身体障害者手帳の申請窓口』と言って訪ねてもらえば良いと思います。

 

1.申請窓口で申請書類を受け取る

申請窓口で、「交付申請書」と「身体障害者診断書・意見書」を受け取ってください。

ウエブサイトから、これらの書類をダウンロードできる自治体もあります。

 

2.身体障害者診断書・意見書の作成の依頼

医師の診断を受け、身体障害者診断書・意見書の作成を依頼します。

注意点は、都道府県知事等から指定されている病院かどうかです。

無駄足にならないように、市区町村の窓口であらかじめ確認しておいてください。

もし、「かかりつけ医」が指定医でない場合は主治医に相談して病院を紹介してもらうようにしましょう。

 

3.自治体の障害福祉窓口に申請書類を提出

障害福祉窓口に以下のものを提出します。

 (1)身体障害者手帳交付申請書

 (2)身体障害者診断書・意見書

 (3)証明写真(横3cm×縦4cm、1年以内に撮影したもの)

 (4)印鑑(自筆により署名する場合は不要ですが持参しておいた方が良い)

 (5)マイナンバー

 

4.障害等級の決定と身体障害者手帳の交付

審査され、障害等級が決定します。

申請から交付に必要な期間は自治体により異なりますが、1~2か月である場合が多いようです。

 

代理申請も可能です。

その場合は、代理権の確認書類 (委任状や申請者本人の健康保険証など)、代理人の身元確認書類 (個人番号カードや運転免許証)が必要になります。

  

身体障害者手帳の再認定制度について

身体障害者手帳に、有効期限や更新はありませんが再認定はあります。

近年、医療や機能回復訓練技術の進歩により、身体障害者の障害の程度が変化する事例が増加しているのが理由だそうです。

これにより、障害の状態が軽減されると予想されるときには、再認定時期が設定され身体障害者手帳に再認定年月が記載されます。

再認定の期日は、手帳交付時から1年以上5年以内です。

再認定制度の対象となる場合は、期日までに身体障害者診断書・医師の意見書を再度提出して改めて診査される必要があります。

その結果、障害の程度に大きな変化が認められた場合には、新しい手帳が交付、もしくは手帳の返還が必要です。

 

再認定制度が適用されるのは、平成26年4月以降に交付申請されたものからです。

それまでに申請した手帳は再認定制度の対象になりませんが、障害の程度に変化が生じた時など平成26年4月以降に再交付の申請をしたときは再認定の対象です。

母は、平成9年に身体障害者手帳4級を取得。

平成26年に再申請をして、1級になっています

母のケースも、平成26年9月に再交付しているので再認定制度が適用される条件に当てはまります。

しかし、手帳には再認定年月が記載されていないので障害の軽減が見込めないと判断されたのでしょう。

 

障害の程度が変化すれば再申請を!

長年、身体障害者4級の手帳を引き出しにしまったままになっていた我が家。

再申請するきっかけは、従来の在宅医では立ち行かなくなったので在宅医を替えたことにはじまります。

このとき、病院が運営する訪問看護ステーションから身体障害者手帳について有益な情報を得ることができました。

  • 一度、取得した身体障害者手帳でも障害の程度が変化すれば、再申請することによって等級を変更できる
  • 2つ以上の障害がある場合は、足すことが可能で障害を総合的に考えるべき
  • 身体障害者手帳4級と2級では、医療費の助成や税金の控除など支援の手厚さが全く違う

 

しかも、「身体障害者手帳2級にはなるはずだから再申請をするべき」と指摘されたので、再申請すると1級に!

目からウロコが落ちるとは、このことです。

1級による恩恵はいろいろありますが、特に、医療費の維持費が重くのしかかっていた我が家にとって身にしみてありがたかったです。

このように等級が変わることによって、受けられる障害福祉サービスや給付金額なども変わってくるので障害の軽重に変化があれば再申請することが重要になります。

 

認定制度の不親切な仕組みは把握しておくべきこと

実は、母が要介護になった7年前に視力障害と体幹機能障害が新たに増えているので、このときに再申請しても同じ結果が得られたと思います。

結果的に、母は体の状態に対して身体障害者手帳の等級が見合っていない期間が3年あったということになります。

僕は、知っていて申請しないと福祉サービスや医療費などの割引が受けられない、身体障害者手帳の制度そのものにいささか疑問に感じています。

それは、これまで僕を含め「かかりつけ医」やケアマネなど母に携わる人たちが誰も再申請に気づけなかった認定制度の複雑さも理由です。

しかも、こういった制度は情報源が限られているのに、頼りの医師もケアマネも福祉サービスは専門外というのですから上手く機能するはずがありません。

医療ソーシャルワーカーが、大病院しか導入されていない現状で「誰が教えてくれるの?」と言うはなしです。

これでは、高齢者でなくても身体障害者手帳について詳しく知らない方や再申請の対象なのに分からずじまいの人もいるのもうなずけます。

賢い受給者にならないと支援を受けられない仕組みに、ルールの作り手側のうさん臭ささを感じているのは僕だけではないと思います。

 

おわりに

今回は、身体障害者手帳の申請・取得方法と適切な障害等級について解説しましたがいかがでしたか?

身体障害者手帳は、取得したあとも再認定と再申請でご自身の身体の変化に合った障害等級にすることが重要になります。

こういった制度は、理解が深まればそれだけ得られるメリットに直結するだけに、自分の障害や等級だけでなく、他の障害や等級制度についても把握しておいた方が良いでしょう。

そうすることで、自分の障害をより理解でき、強いては生活に余裕が生まれると思います。

結局のところ、適切な障害等級を取得するためには、申請者が知識を持って市区町村の障害福祉課や「かかりつけ医」に働きかけなければなりませんが、この記事で身体障害者手帳について少しでも知ってもらえば幸いです。

 

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シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。