正直クソ社畜だった!会社の指示に逆らえず下請けを見殺しにしてしまった過去

sutulo / Pixabay




最近、連ドラちょこちょこと観ています。

今は、阿部寛さん主演の下町ロケットがおもしろいですね。

1作目の再放送を一気に視聴して、現在2作目の4話が終わったところです。

この作品の登場人物の中に、僕も同じような経験をして感情移入せずにはいられない人がいます。

その人物とは、ギアゴーストの伊丹社長。

伊丹社長は、帝国重工でのサラリーマン時代、上司の意向に逆らえずいくつもの下請けを切って、その時のわだかまりを持ち続けている人です。

結局、才能があるのにも関わらず、出る杭を打たれて会社を辞めることに。

ところが、起業してわずか5年で年商100憶の社長となって登場。

今のところ、この会社が買収のターゲットになって伊丹社長のピンチが続いています。

窮地に追い込まれるたび、昔の下請け切りのトラウマが蘇る伊丹社長。

伊丹社長を見ていると、僕も心に引っかかっているやるせない過去を思い出して辛くなるのです。

 

逆らえなかった会社の方針

大口の顧客に取引を停止されたら・・・

たちまち、死活問題になる会社もあると思います。

一営業だった僕でさえ、大口の顧客に依存していただけに考えただけでもおぞましい限りです。

リスク回避するため、売上が偏らないように得意先を分散するのがセオリーですが、そのような余裕がない会社も多いのではないでしょうか。

 

国内仕入れの見直しが始まる

勤めていた会社は、佃製作所のような精密部品ではありませんがモノづくりもしていました。

ただ佃製作所と決定的に違うところは、生産拠点が中国にあったことです。

一旦、ラインに乗せれば大量生産はお手の物でしたが、ラインに乗せるまでが大変です。

なにせ、日本の常識は中国では非常識なのですから扱いが難しすぎます。

しかし、ある時期に中国自社工場の稼働率と利益率を追求するため国内仕入れの見直しが始まりました。

外注を自社にシフトするメリットは容易に理解できますが、これを行うと倒産する会社が出てくる恐れがあります。

取引停止ではありませんので、いきなりゼロになることはありませんでしたが、それでも仕入れが1/3にまで減ったところは実際にありました。

100%うちの会社都合です。

長い付き合いの下請けに、ぶっちゃけそのまま言えるはずがありません。

ある仕入先の社長からは、何とかして欲しいと何度も頭を下げられましたが、どうすることもできなかったです。

 

因果応報。天罰が下ったかのようなトラブル発生

十数年前になります。

国内仕入れを海外の自社工場にシフトしたことにより、僕のリーマン人生最大のピンチが訪れたのです。

今思うと、確かに無理して受注した案件でしたが、やることなすこと裏目に出て大炎上してしまいました。

海外生産のデメリットは、トラブルがあったときの微調整が難しいこと。

最初からそれは分かっていたので、国内の下請業者で生産できるように本社にかけ合っています。

しかし、無常にも海外生産の指示が・・・

そして案の定、ドツボにハマってしまいました。

先方から試作のダメ出し、品質もそぐわないと言われ、修正に追われる毎日。

そのうちに納期が迫って、抜き差しならない状態に・・・

その間、本社には状況を報告しては国内生産に切り替えて欲しい旨を何度も願い出ています。

しかし、今さら生産工程を変更するとなると確実に赤字です。

当然、許可が下りませんでした。

当時、あまりの炎上ぶりに、僕に関わると「火が燃え移るぞ!」だとか「不運がうつる!」と噂されたほどです。

笑えたのは、そのあいだ支店長は僕に一切近づいてきませんでした。

本当に、現金なヤツです(-_-;)

 

下請け工場の社長の死

ケチが付きだすと、何をしても上手くいかないもの。

顧客から呼び出されては

「大手家電メーカーからの信用が無くなる。どうにかしろ!」

「うちの会社を潰す気か!」

と、怒鳴られたりして生きた心地がしない日々が続きます。

やっと、大阪の下請工場での生産許可が下りた頃にはすべてが遅すぎ。

顧客からの信用は、すっかり消え失せた後でした。

しかも、3ヵ月のあいだ右往左往していたことを、たった1週間そこらで出来るはずがありません。

とは言え、ペナルティを何とか回避しなければならないので、下請の社長にもずいぶん迷惑をかけています。

土曜日に元型を持ち込み、月曜日に試作を引き上げる。

この時の行程は、まるでサーカスの綱渡りです。

しかも、2度も試作のやり直しをしています。

なぜか、国内で試作を作ってもすんなり行かなかったのです。

おそらく、度重なる試作のダメ出しに顧客の目も厳しくなっていたのでしょう。

そして、僕にとって忘れられない月曜日が来ました。

早朝7時過ぎに、会社に1本の電話が・・・

声の主は上司だったのですが、下請工場の社長が昨夜亡くなったというのです。

この時、頭の中が真っ白になってしばらく言葉が出ませんでした。

 

社長の死を機に工場は廃業

2日前、元気だった社長がなぜ!?

とにかく、死因が気になっていました。

まだ、60歳前後でしたし、持病があるとも聞いていなかったので自殺ではないかと思っていたからです。

しかし、死因は車の運転中に発作が起きての突然死のようでした。

事故自体は、物損でたいしたことはなかったようです。

そして、車を運転していなくても同じ結果になっていただろうと聞いています。

驚いたのは、社長が亡くなって早々に廃業してしまったこと。

息子が、後を継ぐべく会社の存続を図っていたようですが断念してしまいました。

やはり、経営状態が相当悪かったのでしょう。

これは間違いなく、うちの会社のせいです。

こうして一連の流れを見れば、仕事が社長の死期を早めたような気がしてなりません。

この社長からも何度も頭を下げられていただけに、どうすることも出来なかった罪悪感に、今なお思い出しては例えようのない気持ちになってしまいます。

 

トラブル続きの案件の末路

その後も、顧客から休日に呼び出されて修羅場はありました。

徹夜も、どれだけしたか分からないほどしています。

ただ、僕の中では社長の死で全てはかすんで見えていました。

納期を稼ぐために、一括納品を分納できるように先方も動いてくれましたので、なんとかペナルティだけは免れましたが、その顧客とはその後は疎遠です。

僕自身も長期に渡り、この案件に追い詰められたので胃潰瘍と精神的にも消耗しきってしばらく抜け殻でした。

当然、コストは赤字。

社内の他の部署も、かなり動いてくれましたので数字には表れない部分を考えると大赤字です。

ただ、失敗に厳しい会社がこの件に関しては不問にしてくれたことがせめてもの救いです。

 

おわりに

この1年、いろんな人のブログを読むようになって驚いたことは、自分のことを社畜と呼ぶ人の多いこと。

僕は、この社畜というこの言葉が嫌いです。

会社の意向に逆らえず、汚いこともしてきた自分のことを言われているようで吐き気がします。

下町ロケットの、佃製作所の社長のような清廉潔癖な経営者のもとで働いていれば、こんなことはないのかもしれませんが・・・

本当の社畜とは、ボクのようなろくでなしのことを言います。

 

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シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。