「自宅に帰してあげたい!」
母が、入院するたびに思うことです。
本人も帰りたいでしょうし、この思いはどのご家庭でも同じだと思います。
医療と介護が不可欠な我が家にとって、10年以上もこんな思いを抱きながら、それでも自宅で療養できるのはひとえに訪問看護師のおかげです。
今回は、訪問看護サービスの利用を検討されている方やすでに利用されている方にも、訪問看護について利用方法や費用などについてまとめましたので参考にしてみてください。
目次
我が家の訪問看護サービスの利用方法
訪問看護は、自宅で療養する方のもとに看護師が訪問しケアをおこなうサービスです。
10年前、ナトリウムとカリウムを週3回点滴で補わないと、低ナトリウム血症という厄介な病気になるようになったのが利用するきっかけです。
それ以来、自宅に訪問していただいて点滴管理をしていただいています。
点滴管理以外にも、日々の体調チェックや必要に応じて褥瘡ケアや清拭もお願いしています。
その他にも、会社勤めをしていた頃は留守中の見守りの役割も担っていただいていましたし、異変に気付いてもらって緊急搬送していただいたこともありました。
それに緊急時は、時間外でも対応していただいています。
さすがにこれだけサポートしていただいていると、在宅介護を支えてもらっている実感がものすごくありますね。
訪問看護師のできること、できないことは?
訪問看護サービスを利用するにあたって、訪問看護師の業務範囲を把握している人は少ないのではないでしょうか。
現在お世話になる訪問看護ステーションの、請求書に明記してある訪問看護サービスの実施内容は下記のようになっています。
- 一般状態の観察 ●浣腸 ●服薬確認・指導
- 清拭(部分、全身)●摘便 ●血糖測定
- 手浴 ●排泄介助 ●医師の指示による注射・点滴
- 足浴 ●ポータブルトイレ移動 ●創処置
- シャワー浴 ●オムツ交換 ●褥瘡処置・ケア
- 入浴 ●寝衣交換 ●介護相談
- 陰部洗浄 ●吸引 ●ターミナルケア(看取り)
- 口腔ケア
- リハビリテーション
- 尿カテーテル管理
- 胃ろうカテーテル管理
- CVポート管理
- 在宅酸素管理
- 人工呼吸器管理
- 人工透析管理
訪問看護サービスの特徴は、点滴やCVポート管理、在宅酸素管理など、看護師による医療処置が提供できることです。
その他にも、処方薬の種類が多い利用者のために、薬の飲み忘れを防ぐ服薬確認も訪問看護師の業務の範囲となっています。
また、在宅での歩行訓練などリハビリテーションも可能です。
これらの処置は、主治医が発行する「訪問看護指示書」に基づき、訪問看護計画が作成された上で実施される行為になります。
療養生活のサポートに関しては、トイレへの移動介助、オムツ交換、車椅子への移動介助など利用者の介助が中心です。
こうしてみると、訪問看護師のできることは多岐にわたりますが、掃除、洗濯、食事作り、買い物など、医療的なケアとは言えないサービスは訪問看護師の業務範囲外となります。
訪問看護を利用できる回数や時間数、費用は?
介護保険で訪問看護サービスを利用する場合、利用回数の上限はないですが支給限度額と他の介護サービスとの兼ね合いを考えると週1~2回というところでしょう。
もちろん、支給限度額の超えた分を実費負担した場合は利用回数の制限はありません。
利用時間については、1回の利用時間数は4つの区分に分かれています。
①20分未満、②30分未満、③30分以上60分未満、④60分以上90分未満です。
この中から必要に応じて選択することができます。
費用について
訪問看護サービスの利用料金は、訪問時間の長さによって異なります。
時間 |
料金 |
自己負担額(1割の場合) |
20分未満 |
3,130円 |
313円 |
30分未満 |
4,700円 |
470円 |
30分以上60分未満 |
8,210円 |
821円 |
60分以上90分未満 |
11,250円 |
1,125円 |
訪問看護には、それぞれの内容で「単位」が定められていて1単位ごとの金額に応じて料金が決定されます。
上記は、介護保険を利用して訪問看護を利用する場合の1単位を10円とした時の料金表です。
実際には、地域によって1単位あたりの金額が異なるので、詳しくは利用する訪問看護ステーションにお問い合わください。
我が家の利用料は
母は、30分未満の枠で週3回訪問していただいています。
利用料を計算すると、月に13回訪問していただいているとして470円×13回=6.110円です。
あと、緊急時訪問看護加算や訪問看護特別管理加算など諸々加算されて、1か月8.000円弱の支払額といったところでしょか。
実は、今が一番安いです。
会社勤めをしていた頃は、12.000円~1.3000円くらいだったと思います。
朝一、点滴をセットしてもらって点滴が終わるころに再度訪問していただいてたのですが、今は点滴が終わったあとの処理を僕がしているのでその分が減っているからです。
また、骨折で訪問入浴を休止、その代わりに訪問看護サービスで全身の清拭していただいていたときは、1か月の支払いが19.000円のときもありました。
訪問看護の相談先と注意点
訪問看護サービスは、必ずしもどこそこで相談しなければならないということはないので、ネットや近所の口コミも参考になると思います。
一般的には、主治医やケアマネジャー、ソーシャルワーカや地域包括支援センターなどで相談してみると良いでしょう。
注意すべきことは、主治医やケアマネジャーに任せっきりにしないこと!
手続きや顔合わせが、サービス当日だった!
なんてことは、ありがちなことかもしれませんが、我が家のように後々在宅介護に支障が出て面倒なことになるかもです。
というのも、我が家は一度訪問看護の事業所を替えています。
理由は後述するとして、現在の訪問看護ステーションは近くの病院が運営している事業所なのですが、ネットで訪問看護ステーションが併設されていることを確認して問い合わせをしています。
出向いてお話しさせていただいたのですが、知り得なかったことをたくさん教えてもらい、わずかな時間でしたがこれまでのモヤモヤがスッキリして有益だと思える時間でした。
このような経験から、訪問看護の事業所を探す際は複数の施設に足を運んで比較することをおすすめいたします。
訪問看護ステーションの選定ポイント
僕は、2つの訪問看護サービスを知っていますが、同じ訪問看護でもやはり違いはあります。
下記は、これまでの経験による僕なりの選定基準です。
少人数の事業所は敬遠した方が無難
最初の訪問看護の事業所は、町の内科医でしたのでスタッフも10人にも満たなかったと思います。
訪問看護師に限れば、2人だけでした。
2~3年経つ頃、この2人の看護師が同時に退職されて、後任がポートに針を10回以上刺しても穿刺できない看護師を派遣された時点でお断りさせていただきました。
実際には、改善して欲しいと開業医に連絡して1か月ほど我慢したのですが、改善してもらえなかったので。
それまでも不親切な事業所だと感じていたので、今となっては良い機会だったと思っています。
少人数だと、どうしても経営者のさじ加減が大きく反映するので、当たり外れがはっきりしてしまい分が悪いです。
コミュニケーションを大切にしているかどうか
最初の訪問看護は、点滴管理を自宅ではなく事業所で行っていて、セットした点滴を持ち込んで繋げるだけでした。
いわゆる時短です。
こんな調子ですから、常に時間に追われている感じで2~3年お世話になりましたがちゃんとお話した記憶がありません。
もちろん信頼関係も無かったです。
このときはこんなものだと思っていたのですが、今のところと比較するとコミュニケーションと信頼関係が大切だということがよく分かります。
これは病院看護師とも大きく異なる点です。
病院看護師は、大勢の患者のうちの一人なので関係も希薄になりがちですし、患者も看護師よりは医師の方に重きを置きがちです。
でも、訪問看護師は違います。
僕もそうですが、訪問看護師にかなり頼っています。
と言うより、頼り切っています<(_ _)>
極端なはなし、病院看護師のキャリアがいくらあっても、いくら高度な医療スキルを持っていたとしてもコミュニケーションが取れていないと在宅介護は円滑にはいきません。
特に、車いすや寝たきりだと、会話する機会が少なく訪問看護師とおしゃべりすることが生きる糧だったりします。
それに利用者の家族も、普段から親の体調の変化や介護相談することで未然に対処できることもあると思うので日頃のコミュニケーションは大切です。
主治医や訪問看護師同士の連携
現在の訪問看護ステーションは、ひとりの人が固定の担当という訳ではなく3~4人のローテーションで訪問していただいています。
いつも感心するのが、誰が来られても細かなことまで情報が共有されていること。
普段からしっかり引継ぎされているようで、チームワークの良さが伺えます。
また、訪問看護師が自宅から主治医の指示を仰いだ場面もこれまでに何度かありましたが、病院で診察中でもすぐに折り返しの回答があるので安心です。
自宅と事業所の距離
訪問看護ステーションが、自宅から近い必要があるのはやはり緊急時です。
田舎なので車での移動ですが、訪問看護ステーンの半径10kmほどの範囲を1日4~5件回っておられるようで、何かあったときは近くにいる人が対応してくれます。
時間外だと、訪問看護師の自宅からになるのでこの辺りも確認しておいた方が良いでしょう。
365日24時間体制のサポート
医療の依存度が高い場合は、24時間体制でサポートしてもらえる事業所を探してください。
訪問の有無は別として、いざというときは連絡が取れるだけでも安心です。
我が家の場合は、できるだけ訪問看護師の負担にならないように朝まで待つようにしていますが、腸閉塞やポート感染での発熱で何度か夜間に来ていただいたことがあります。
在宅介護が長い僕でも、緊急時はやはり心細いものです。
入院施設がある病院が運営する訪問看護ステーションのメリット
現在お世話になる訪問看護ステーションは、約200床を有する病院が運営しているので緊急時も優先してもらえるので安心です。
先日、母が腸閉塞で入院したときも、このときは電話のやり取りでしたが訪問看護師が夜間にもかかわらず病院に受け入れ要請してくださり助かりました。
特に、このコロナ鍋。
緊急時でも、受け入れてくれる病院がなく入院難民に陥ってしまう世の中です。
いざというとき慌てないためにも、普段から緊急時のことを訪問看護師と話し合って備えておきましょう。
おわりに
我が家で、日々お世話になっている訪問看護についてでしたがいかがでしたか?
訪問看護師に対しては、感謝することはあっても不満なんて全くありません。
1つわがままを言えるのなら、人事異動ですかね。
現在の訪問看護ステーションは、病院組織なので定期的に人事異動があります。
訪問看護師を数年勤めた後、別のところに配属されるようなので3月になると別れがあって、新しい訪問看護師さんとの出会いがあるといった感じです。
別れは、寂しくもありこれからの不安もあります。
お世話になった人だからなおさらです。
最後に、訪問看護師は利用者に寄り添う素敵な職業です。
長年、訪問看護師の仕事ぶりを見てきてそう思います。