高齢に伴う障害でも「障害者手帳」の取得は可能!該当する症状や申請するメリットを解説




皆さんは、高齢による障害でも「障害者手帳」を取得できることをご存じですか?

障害者手帳は、金銭的な問題や家族の介護負担の緩和につながる価値の高い手帳です。

しかし、高齢者の障害は見落とされがちなのか、障害者手帳に結びついていないケースが多いように感じます。

今回は、高齢だから仕方がないとあきらめている方に、高齢に伴う障害での障害者手帳について解説しますので参考にしてみてください。

 

高齢に伴う障害でも「障害者手帳」を取得できるのか?国の見解は?

最初に、結論から。

「障害者手帳」は、高齢に伴う障害でも対象となりますし、介護認定を受けていても取得できます。

下記は、高齢に伴う障害が身体障害者手帳にどこまで反映されるか、その範囲を示した国の見解です。

 

身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について

問:老衰により歩行が不可能となった場合等でも、歩行障害で認定してよいか?

答:加齢のみを理由に身体障害者手帳を交付しないことは適当ではなく、身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を謳った身体障害者福祉法の理念から、近い将来において生命の維持が困難となるような場合を除き、認定基準に合致する永続する機能障害がある場合は、認定できる可能性がある。

 

問:脳出血等により入院加療中の者から、片麻痺あるいは四肢麻痺となり、体幹の痙性麻痺及び各関節の屈曲拘縮、著しい変形があり、寝たきりの状態である者から手帳の申請があった場合、入院加療中であることなどから非該当とするのか? 

答:入院中であるなしにかかわらず、原疾患についての治療が終了しているのであれば、当該機能の障害の程度や、永続性によって判定することが適当である。

ここには、高齢を理由に障害者手帳を交付しないことは本意ではないとしっかり明記されています。

 

親が転倒がきっかけで歩行が困難になった場合でも可能

母のように、転倒による大腿骨骨折から車いすや寝たきりになることは高齢者にありがちなこと。

このようなケースでも、四肢がどの程度動くかが評価の目安となるので身体障害者手帳の対象です。

また、脳梗塞などで身体に麻痺が残ったときも、「認定基準に合致する永続する機能障害がある場合」は対象になります。

身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義については、厚生労働省のホームーページのリンクを貼っておきますのでご確認ください。(身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について/厚生労働省)

 

高齢者に多い認知症でも「障害者手帳」の対象である!

「障害者手帳」とは、身体に障害がある人に自立や社会活動の参加を促し支援する仕組みです。

その中には、ケガや病気で障害を負うことになった人だけでなく認知症も含まれます。

そもそも、「障害者手帳」は「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。

「身体障害者手帳」は、肢体や視覚・聴覚など身体機能の障害。

「精神障害者福祉健康手帳」は、精神障害や高次機能障害など精神疾患によるもの。

「療育手帳」は、児童の知的障害。

このうち、認知症が関係するのは「身体障害者手帳」と「精神障害者福祉健康手帳」の2つです。

認知症は、記憶障害や見当識の低下などの症状が出る病気のため、精神障害に位置付けられほとんどの場合は「精神障害者保健福祉手帳」になります。

しかし、脳血管性認知症やレビー小体型認知症のような身体症状が出やすい認知症の種類によっては、「身体障害者手帳」に該当するケースもあるようです。

身体障害者手帳の詳細については、こちらの記事に記載していますのでご確認ください。

 

「精神障害者保健福祉手帳」とは

「精神障害者保健福祉手帳」は、精神障害のため長期にわたり日常生活や社会生活への制約がある人を対象とした手帳です。

この手帳を申請するには、医療機関で初めて診察を受けた日から6ヶ月以上経過して、なお症状が続いて生活に支障が出ている方が対象になります。

この手帳は、障害年金とはまったく別の制度です。

そのため、障害年金を受給していても手帳の取得が可能です。

精神障害者保健福祉手帳

対象疾患:うつ病、そううつ病などの気分障害、てんかん、薬物依存症、高次脳機能障害、発達障害など

等級区分:障害状況によって1~3級

申請窓口:市区町村の障害福祉課

発行期間:約2か月

有効期限:2年間

 

手帳の等級は、1級になるほど症状が重く、1級は税法上の特別障害者にあたります。

障害等級の判定基準については、こちらにリンクを貼っておきますのでご覧ください。(厚生労働省:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

 

医師の診断書が重要

申請には、医師の診断書が必要です。

正確な診断書を書いてもらうことが重要となるのですが、そのためには主治医に親の症状を理解してもらう必要があります。

「どんな障害があって、負担になっているのか」

診察時や訪問診療の際には、ご家族が介護するうえで困っていることを伝えるようにして日頃からコミュニケーションを取るようにしましょう。

 

高齢者が「障害者手帳」を取得するメリット

障害者手帳を取得することで、美術館や動物園など公共施設の多くで入場料割引になる他、さまざまな料金の割引や助成、税金の優遇などが利用できます。

その中でも、高齢者が負担を軽減できる主な優遇はざっとこんなところでしょうか。

  • 税金の控除
  • 医療費の助成
  • 住宅改修費の補助
  • 交通機関、公共施設の割引
  • 携帯電話の基本料金の割引

 

税金の控除は、所得税や住民税の控除、相続税の控除、贈与税の一部非課税化、自動車税の減免などがあります。

例えば、所得税の「障害者控除」は、納税者、控除対象配偶者や扶養親族に障害がある場合、認定された傷害の等級により、最大で75万円の所得控除の適用が可能です。

ちなみに、「障害者控除」は障害者手帳を持っていなくても適用されるケースがあるのでチェックしておきましょう。

 

医療費は、所持している手帳の等級によりますが自己負担額を大幅に軽減してくれます。

母も、身体障害者手帳1級を取得しているので、訪問診療、眼科、歯科、薬代などの医療費がほぼ無料です。

障害福祉サービスは、65歳以上だと障害者手帳を取得するメリットが微妙なので挙げていません。

訪問入浴など重複するサービスは、介護保険サービスが優先されるからです。

しかし、条件次第で併用が可能となるケースもあります。

障害福祉サービスと介護保険サービスの併用については、ケアマネジャーの範囲になるので相談してみてください。

 

おわりに

今回は、高齢による障害でも障害者手帳を申請できるのか、該当する症状や申請するメリットについて解説しましたがいかがでしたか?

該当するかどうかや障害等級については複雑ですが、障害者手帳を取得できる範囲を何となく知ってもらえば良いかと思います。

困ったときの相談先は、医療機関や市区町村の障害福祉課、地域の精神保健福祉センターなどにお問い合わせください。

それぞれの立場から、精神障害者保健福祉手帳の取得について的確なアドバイスをしてくれると思います。

 

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シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。