高齢者が、6種類以上の薬を服用すると副作用の危険性が高まると言われているご時世。
「うちの親は、大丈夫!?」
と不安に思われているご家族も多いのではないでしょうか?
母も、たくさんの薬を服用しているので、在宅医にお願いして減薬に取り組んでいます。
今回は、在宅で減薬をするメリットや注意点などまとめましたので参考にしてみてください。
目次
この記事を書くきっかけとなった出来事
半月ほど前、母が支離滅裂なことを言い出して4~5日大変でした。
母の様子に違和感を覚えたのは、入れ歯を取って欲しいと夜中に起こされたのが最初です。
洗浄するのを忘れたのだと思い、口の中を確認するも入れ歯は無かったのですが、有ると言い張る母に少し様子がおかしいとは思っていました。
それが2~3日も経つと、ここはどこ?私は誰?状態です。
「これから東京に出張に行くのか?」
「ここはどこの病院なのか?」
「南無阿弥陀仏・・・」
挙句には、夜中にお経を唱える始末です。
この感じ、過去に何度か経験しているせん妄の症状に似ています。
とりわけ、要介護のきっかけとなった低ナトリウム血症の初期症状に似ていて10年前の悪夢が脳裏をよぎったくらいです。
あの時は、半年のあいだ色々ありすぎて身も心もボロボロ。
僕の人生の中でも、あんなに酷い目に合ったのは間違いなく断トツ1位です。
幸い、今回は低ナトリウム血症ではなく減薬が原因だったのですが、薬って怖いなあと思った出来事でした。
自己調整は危険!減薬は必ず主治医の指導のもとで
在宅医に、減薬をお願いして3年。
骨折やポート感染で入院するたび、中断していることもあってまだ減薬の途中です。
内科の薬、鎮痛剤、睡眠導入剤、心療内科の薬の順といった具合に手の付けやすいところから行われていて、現在は最終段階といったところでしょうか。
こうして見ると、減薬する順番も重要なんだと思います。
それにしても、薬をやめることがこんなに根気と時間がかかるなんて思いもしなかったです。
特に、心療内科で処方されていた薬はかなり慎重に減薬してきましたが、それでも離脱症状になってしまいました。
ちなみに、せん妄の原因はテグレトール錠という薬。
1日2錠から1錠に減らしただけなのに、たった4~5日で目がギラギラ、いつも無口で物静かな母がしゃべる、しゃべる、しゃべる・・・
今回、大事に至らなかったのは在宅医の対処が早かったことに尽きます。
せん妄などの症状が出てからでは、ご家庭で到底対処できるものではないので必ず医師の指導のもとで減薬や断薬を行ってください。
離脱症状や依存性の高い薬の服用には気をつけて!
母が、薬との付き合いが始まったのは55歳の大腸がんの手術後から。
当時、どのくらいの薬を服用していたのか分からないのですが、明らかに増えたのは要介護のきっかけとなった低ナトリウム血症を発症した68歳のときです。
このとき、33錠にまで膨れ上がっています。
「けいれん発作の原因は、低ナトリウム血症なのに抗てんかんの薬を服用する必要があるのだろうか!?」
「そもそも、心療内科にかかること自体おかしいのでは?」
「いくら何でも、1日33錠は多すぎる!」
低ナトリウム血症発症から1年経つ頃の、僕の心境です。
なので、当時の主治医だった医大の医師に減薬をお願いしたのですが取り合ってもくれなかったです。
結局、母が足を骨折して通院困難になるまでの6年ものあいだ同じ薬を処方され続けています。
心療内科の薬が厄介なのは、一旦飲みだすとやめたくてもやめられなくなってしまうことです。
そのうえ高齢になるほど、自身で管理できなくなったり感覚も鈍ってくるので減薬が難しくなってしまいます。
母も、今回の離脱症状でこれらの薬は最後まで残りそうです。
在宅医療で減薬に取り組むメリットは?
在宅医に、減薬のお願いすると快く引き受けてくれています。
訪問診療は月2回ですが、コミュニケーションを取ってしっかり観察してくれています。
それに訪問看護師と連携してフォローしてくださっているので、減薬についても不安はありません。
その他にも、離脱症状が予想できるものや副作用が分からないものは、入院したときに回したりと臨機応変に対応もしていただいています。
たとえ、離脱症状が出てもすぐに対処できるからですが、考えようによっては入院中は薬を整理する絶好のチャンスです。
訪問診療で、母の病状、体質、処方の内容、依存の程度、普段の様子まで把握しているからこそ、このような配慮もできるのだと思います。
減薬に取り組むために「かかりつけ医」を変えることも視野に!
3年ほど前、大腿骨骨折による鎮痛剤が増えた頃は1日40錠ほどになっていた薬。
それが、今では24錠です。
種類も、18あったのが12に減っています。
毎日、33錠を服用し続けてきた6年間はなんなん?
「かかりつけ医」を変える転機がなければ、今も処方され続けていたかと思うと本当に恐ろしいです。
通院・在宅医療に限らず、減薬するには減薬に取り組む医師に診てもらうことが必要不可欠です。
しかし、減薬に積極的な医師がはたしてどのくらいいるのか疑問です。
特に、医大のような急性期病院は、患者に割く時間や労力も限られているので、細やかな対応を要する減薬は不向きなのかもしれません。
減薬に消極的な医師の場合、薬局薬剤師に介入してもらって主治医に働きかけてもらう手もあります。
ただ、それでもダメなら「かかりつけ医」を変える他に方法はなさそうです。
たしかに、「かかりつけ医」を変えることはハードルが高い行為ですが、在宅医療でも変えようと思えば可能だと思います。
薬の副作用が疑われる場合、減薬のメリットがデメリットより勝ると判断されるようでしたら「かかりつけ医」を変えることも視野に入れて減薬に取り組む病院を探してみましょう。
おわりに

今回は、在宅医療での減薬についてでしたがいかがでしたか?
母の減薬に、3年携わって思うこと。
薬を増やすのは容易いけれども、減らすのは難しい。
薬を増やすなら、減薬のことも顧慮に入れて欲しいです。
長年、かかりつけ医だった医大の元主治医にひとこと苦言を言えるなら、広げた風呂敷は放置せずにちゃんと畳んで欲しいと言いたいですね。
2022年3月28日現在
1日8種類、15錠になりました。
在宅医に感謝・感謝です。