エルネオパについて解説!在宅で点滴による栄養補給を検討中の方に




在宅で、高カロリー輸液療法を行うようになって4年が経過します。

現在かかっている、地元の総合病院から提案していただいたとき、

「えっ!?いつも入院中にしているエルネオパ、自宅でできるの?」

「そんなのもっと早く教えてよー」

 

と内心思ったぐらいです。

と言うのも、大腸がんによって、大腸のすべてと小腸の半分以上を失っている母は長年にわたり栄養摂取が悩みの種だったからです。

それに、低ナトリウム血症を防止するための点滴をすでに自宅で行っていたので、今さら点滴が1、2回増えることにさほど抵抗を感じなかったこともあります。

今回は、在宅で高カロリー輸液を検討されている方に、少しでも役立てていただけるよう解説したいと思いますので参考にしてみてください。

 

母が栄養補給のために17年間強いられていたこと

長年、母はエレンタールという栄養剤を飲んでいました。

これがとにかくマズイ。

母が、飲みづらいと訴えるので味見をしたことがありますが、大腸内視鏡検査のときに服用する下剤よりも飲みづらく2度と口にはしたくないシロモノです。

粉末が溶けにくいので、母はお湯で溶かしたあと冷蔵庫で冷やしていましたが、お湯に溶かしたときのニオイも尋常ではありません。

少しでも飲みやすいように、オプションでフレーバーなるものが何種類かあって味と香りを変えることができるのですが、薬だと割り切っていても1回300mlは地獄の沙汰です。

1997年に大腸がんの手術をしているので、その直後からこのエレンタールをノルマのように毎日こなしていたのですが、それでも栄養失調で年に1、2度ダウンしては入院を余儀なくされていました。

入院中は、点滴で栄養補給する日々が約1か月ほど続きます。

血管が細く針が入りづらいこともあって、あちこち刺されてはアザが残っていたので相当辛かったはずです。

 

「末梢静脈栄養」と「中心静脈栄養」について

 血管に直接栄養を注入する、いわゆる点滴で栄養補給する方法は「末梢静脈栄養」と「中心静脈栄養」の2種類あります。

 

「末梢静脈栄養」とは

末梢静脈栄養は、腕や手の甲などの細い血管に針を刺し製剤を注入する方法で、一般的に「点滴」と呼ばれるのはこちらの方です。

利点は、消化管を通さなくても水分・栄養の摂取が可能で、胃や腸など手術したときこれらの気管を休ませることができます。

また、体内にカテーテルを埋め込む必要ないので管理しやすいです。

欠点は、高濃度の輸液は不可。

長期間(1週間以上)の点滴ができないことです。

1日に投与できるカロリーは1000kcalが上限となるので、末梢静脈栄養だけでは必要な摂取カロリーをまかなうことができません。

ちなみに70歳以上の高齢者の摂取カロリーは、男性で1日1850kcal程度、女性で1500kcal程度です。

それにカテーテルの針や栄養輸液の浸透圧などが影響して、血管痛や静脈炎を起こしやすい難点もあります。

 

「中心静脈栄養」とは

心臓の近くの太い血管から点滴で栄養を摂る方法を、中心静脈栄養といいます。

一般的には、鎖骨下を通る静脈から中心静脈にカテーテルを挿入して栄養を直接注入する方法です。

消化管を使わないで、水分や栄養の摂取ができる利点は末梢静脈栄養と同じですが、使用する期間と点滴で使用する輸液の濃度が異なります。

母が、処方されている高カロリー輸液(エルネオパ)を製造している大塚製薬のホームページに詳細があるのでリンクを貼っておきます。

「中心静脈栄養」とは高カロリー輸液とも呼ばれ、高濃度の栄養輸液を中心静脈から投与することで、エネルギーをはじめ、からだに必要な栄養素を補給することができます。栄養状態の悪い患者さんや、長期間(1週間以上)経口摂取ができない患者さんに用いられます。通常は、糖質、アミノ酸、脂質、電解質(Na, K, Cl, Mg, Ca, P)、微量元素およびビタミンの1日必要量を中心静脈から24時間かけて投与します。

                       (大塚製薬HPより引用)

 

「中心静脈栄養」メリット・デメリット

中心静脈栄養を行うためには、心臓近くの太い血管にチューブを接続するためのカテーテルを挿入しなければなりません。

このカテーテルは、体の表面に一部が出る体外式と、全てが体の中に隠れるポート式の2種類に分けられます。

母が、ポート式なので体外式は分からないのですが、ポートの場合は中心静脈栄養にCVポートのメリット・デメリットが追加される形になるのでCVポートについても確認しておいてください。

 

CVポートと重複しないメリット・デメリットは、下記のとおりです。

メリット

  1. 消化管が機能していなくても水分・栄養の摂取が可能
  2. 長期間、高濃度の投与が可能(1日2500kcal程度までの栄養の投与が可)
  3. 在宅での療養が可能

母のように、病気の治療を行う必要がなく状態が安定している入院患者が、自宅で栄養療法できることが中心静脈栄養の最大のメリットです。

 

デメリット

  1. カテーテルを体内に挿入する手術が必要
  2. 食道・胃や腸など消化管の機能が衰える恐れ
  3. 入所できる施設が限られる
  4. 高カロリー輸液の価格が高い

局所麻酔で30~60分くらいで終わる簡単な手術ですが、体に埋め込むため小手術を必要とします。手術に伴うリスクは、埋め込み手術に関するもの、埋め込んだ後の合併症が起こる可能性です。

長期間、点滴だけの栄養摂取に頼って胃や腸を使わないと、食べるための筋力や消化管の機能は衰えてしまいます。

中心静脈栄養は、医療処置が求められるため特別養護老人ホーム(特養)のような一般の施設の受け入れは難しくなるので気を付けてください。

アイキャッチ画像の高カロリー輸液(エルネオパ)の価格は、1割負担で1.303円。週1回投与したとして1ヵ月5.212円の自己負担額になり、母が処方されている薬の中でも突出して高いです。

 

在宅で高カロリー輸液をするために必要なこと

我が家の場合、医師から高カロリー輸液の提案があったとき、すでに在宅で点滴を自宅でしていたのでスムーズにシフトすることができましたが、在宅で高カロリー輸液を行うためには在宅医療の導入が必要です。

点滴の輸液を、医師に処方してもらうため定期的な受診や訪問診療が必要となり、日々の点滴の管理は訪問看護師にお願いすることになります。

訪問看護師に来てもらうには、介護保険が必要になるのでケアマネジャーを選任するところから始めなければならない人もいるかと思います。

また、高カロリー輸液やCVポートの取り扱いも知っておいた方が良いので、退院前に看護師さんにお願いしてレクチャーしてもらった方が良いでしょう。

CVポートの管理と重複することが多いので、こちらの記事も合わせて読んでいただければ幸いです。

 

おわりに

もし、地元の総合病院の提案がなければ、それまでかかっていた大学病院や訪問診療に来ていた開業医からも些細な情報でさえも得ることができなかったので、以前の環境であれば在宅で高カロリー輸液療法が可能だなんて知る由も無かったと思います。

現在お世話になる在宅医によると、10年くらい前からCVポートが普及しだして在宅で療養が可能になったとのことです。

母は、在宅で高カロリー輸液療法をはじめた頃は、すでに要介護でしたので点滴の管理はできませんでしたが、体の不自由がない方ならご自身で管理されている人も多いと聞きます。

中には、週3回の高カロリー輸液の点滴をしながら、普段は畑仕事をされている元気な高齢者もおられるようです。

中心静脈栄養やCVポートと聞いて、延命処置を連想される方も多いと思いますが、食欲が回復するまでのあいだの治療や在宅で管理することにより社会復帰を可能にする栄養療法でもあります。

 

スポンサードリンク







ABOUT US

シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。