母は、骨粗しょう症による骨折が3つあります。
1つ目は、74歳のときの右足の大腿骨骨折。
2つ目は、76歳のときの右上腕の骨折。
3つ目は、78歳のときの右足の膝付近の骨折。
母も僕も、骨粗しょう症が重症化するまで気づかなかったばかりに散々な目に遭っています。
骨粗しょう症に対する認識が甘いと言えばそうなのですが、全くノーマークだったのですから防ぎようがありません。
今回は、骨粗しょう症が我が家にもたらした悲劇を3つご紹介させていただきます。
目次
骨粗しょう症が重症化していることを知らずに手術をするとどうなる?
3度の骨折のうち、最初の2つは通常なら手術を要する骨折です。
しかし、右上腕は骨粗しょう症が発覚した後でしたので手術はしませんでした。
と言うより、できなかったのです。
反対に、大腿骨は骨粗しょう症になっていることを知らずに手術しています。
骨粗しょう症が重症化しているのに、手術をするとどうなるのか?
母は、足にボルトを入れて補強する手術をしているのですが、ボルトを固定するネジが抜けそうになってネジの役割を果していません。
骨がスカスカで、ネジ穴がバカになっているのが原因です。
その結果、ひどい痛みに加え、術後の感染症で半年を超える寝たきりの入院生活を余儀なくされました。
退院後も、頓服(とんぷく)で痛みをコントロールしながら、痛みが治まるまで1年以上かかっています。
今となっては、不要なボルトを取り除くこともできず、これから先寿命が尽きるまで感染症のリスクだけが残って踏んだり蹴ったりです。
結局のところ、手術してキズ口を広げただけ。
骨がヌカに釘なのですから、そもそも手術をすること自体間違っています。
骨粗しょう症による骨折は身体障害に直結しやすい

骨粗しょう症は、分かりづらく骨折してはじめて知る人も多いと聞きます。
母もその一人ですが、発覚したときにはすでに重症化していました。
骨粗しょう症が、重症化しているとどうなるのか?
リハビリが遅れる原因になる
高齢者の骨折で、気を付けなければならないこと。
それは、身体を動かせなくなる期間が長くならないことです。
母が経験した、骨粗しょう症が引き起こす負の連鎖です。
- 骨のつきが悪いと、早期にリハビリができなかったり、そもそもリハビリができないこともある。
- リハビリが遅れると、筋肉量が減少してしまう。
- 一旦、無くした筋肉を元に戻すことは困難。
リハビリは、出来るだけ早くとはよく聞く言葉ですが、身体を動かさなくなると筋肉はすぐに落ちます。
特に、高齢者は筋肉の低下が早く、母も骨折した右足だけでなく左足の筋肉まであっという間に削げ落ちてしまいました。
手術ができない原因になる
骨粗しょう症が重症化すると、手術ができないケースが出てきます。
手術が必要なのに、できないとどうなるのか?
母の右上腕骨折のように、骨を元に戻すことなく固定して「日にち薬」でつなぐことになります。

母の場合は、骨の継ぎ目の接地面が、1/3程度しかないので強度のほどは分かりませんが、おそらく負荷はかけられないので荷物は持てないでしょう。
腕に、負荷がかけられない。
すなわち、身体障害者になってしまいます。
関節が固まる原因
骨粗しょう症だと、骨がつくのに時間がかかります。
人によって回復の度合いは異なりますが、母の右腕だと1年以上骨がついているかの判断ができませんでした。
長期間固定すると、関節が固まってしまいます。
母も、長いあいだ腕を固定していたので、肘関節が曲がってしまって真っすぐに伸ばせなくなりました。
今では、常に45度くらいに曲がったままです。
骨粗しょう症は介護負担を重くする
最初の大腿骨骨折で、要介護度が3→5に。
入浴は訪問入浴に切り替えましたが、ベッドでの生活が中心になると、食事・排泄介助など介護負担が劇的に増えます。
さらに2年後の右上腕骨折で、車いすへの移動介助がお姫さまだっこに変更することに・・・
お姫様だっこって、腰にものすごく負担がかかるんですよね。
これまで、腰痛とは縁がなかった僕も今ではすっかり腰痛持ちです。
また、装具で固定した箇所の褥瘡(じょくそう)の処置も発生するので、身体が不自由になる度に負担が増すといった感じです。
通院期間が長くなることに伴う負担
骨粗しょう症による骨折は、回復が遅いので通院期間も長くなります。
通院期間が長くなると、医療費や交通費もそれだけ必要です。
特に、介護タクシーを使い出すと医療費よりも交通費の方がかさんでしまいます。
それに、身体の不自由な人が通院するには付き添いが必要です。
病院の混み具合にもよりますが、母の場合は行って帰るまで3時間ほどかかっていました。
費用もさながら、通院に要する累積時間も莫大です。
たとえ骨粗しょう症が重症化していなくても、高齢者が骨折してしまうと治療に時間がかかることは想定しておいた方が良いでしょう。
おわりに
我が家の悲劇と題して、骨粗しょう症が及ぼす影響について解説しましたがいかがでしたか?
母のこれまでの経過を見ても、骨粗しょう症が重症化してしまうと高齢者の負の連鎖から改善は困難かと。
そして、本人だけでなく支える家族の介護負担にも波及するようになります。
骨粗しょう症は、治療より予防の方が効果のある病気です。
ぜひ、現状を確認するためにも骨の検診を受けましょう!