母は6年前介護が必要になったとき、右腕は麻痺していましたが普通に歩いていました。
いつ頃だったでしょうか。右足の膝の痛みを訴えだし病院に何度か通いましたがはっきりとした原因は分かりませんでした。
杖を購入したのもつかの間、歩行器がないと歩けなくなり今では車椅子になってしまいました。
それに応じて見守り程度からはじまった入浴も、入浴補助用具が必要になって現在は入浴業者にお願いしています。
母の身体は急激に悪くなったわけではありません。
段階を経てその都度必要に応じた介護用品をレンタル・購入してきました。
うちの場合少し変わっているのですが、ケアーマネジャーが付いたのは母が介護必要になってから1年後でした。
6年前、母が入院していた大学病院にまだ医療福祉相談所なるものが設置されてなく、相談するところも分からずじまいで退院。そのまま在宅介護に突入してしまったからです。
もちろん介護に関する知識は持ち合わせていませんでしたので全て手探りです。
介護用具は6年前の退院時、「自宅で点滴しなければならないので点滴台を準備して下さい」と言われてネットで購入したのが最初です。
もちろんまだ、介護申請していませんでしたので実費負担でした。
今は介護用品の購入・レンタルは、ケアーマネジャーから紹介していただいた専門の会社で必要なものを相談して基本的には担当者のお勧めの用具を使用しています。
はじめて介護レンタルをご検討される方の中には、ベッドや車椅子のイメージを持っておられる方も多いと思いますが、僕も同じように思っていました。
介護保険対応の福祉用品カタログにはたくさんの商品があって驚きます。
商品の種類、カラー展開も多彩ですし介護者・介助者両方の立場から、負担を軽減できるような便利グッズ的な要素が満載で感心します。
カタログを開くと歩行補助用品に杖の項目があります。
和柄、かわいい犬・猫や、桜、蘭(ラン)鳳凰(ほうおう)、ミッキーやキティのシャンパンゴールドの柄色まであります。
折りたたみの機能や、傘の中から杖が出るもの、スワロフスキーが埋め込んであるものまでほんとびっくりです。
雨の日でも思わず散歩に出たくなるようなそんな気分にさせてくれますよね。
さらに持ち運びに便利なおしゃれな折り畳み杖用の収納袋や、ステッキのグリップに通して使うすべり止めカバーなどまさに至れり尽くせりです。
同じ項目に一見スキーストックのような杖もありました。
ノルディック・ウオークと言って2本のポールを持ってクロスカントリースキーのように行うウォーキングらしいのですが手軽さと高い運動効果が注目されて世界的に広がっているそうです。
歩きながらストックを使うので手軽に全身運動が行えると明記されていました。
ほんといろいろありますね。
介護保険が使える介護福祉用具については下記を参照してください。
2年間ほど入浴補助用具(下の方の写真の3点)を使用していたことがありました。
こちらは特定福祉用具になります。
特定福祉用具とは介護に必要な用具で利用者の肌が直接触れるもの、例えばポータブルトイレ・入浴用品・特殊尿器の交換可能部分などです。
特定福祉用具については下記を参照してください。
2)自動排泄処理装置の交換可能部品
3)入浴補助用具(入浴椅子や浴槽への出入り等の補助を目的とする用具)
4)簡易浴槽(空気式又は折りたたみ式等で容易に移動できるものであって、取水又は排水のために工事を伴わないもの)
5)移動用リフトのつり具の部分(移動用リフトのうち、実際に利用者の体を包んで支え人体に接する吊り具の部分)
購入の場合は介護保険対象となる限度額は1年間(4月から翌3月)に10万円までです。
毎年更新され次の年度も新たに上限10万円まで福祉用具の購入が可能になります。
レンタルは要介護度別に定められた限度額の範囲内になりますが、購入もレンタルも自己負担額は1割です。
ただし、都道府県の指定業者(販売店)からの購入に限りますのでケアーマネジャーに必ず相談して下さい。
償還払いなので全額支払ったあとに市町村に申請して介護保険から9割分の金額が払い戻されます。(一定収入のある方は2割の自己負担)
レンタル・購入は要介護1以上(1は含まず)でしたら、ほとんどのサービスが利用できます。しかし中には不可のものや、その逆もありますので確認してください。(自動排泄処理装置は要介護4以上など)
昔から母は和室で布団を敷いて寝ていました。
しかし月日とともに畳の上に低反発のマットレス、畳からベッド、さらに床ずれするようになったのでエアーマットをレンタルしてきました。
昨年7月に足を骨折して寝返りも打てなくなったので、入院中は看護師さんが定期的にクッションを駆使して体位交換をしてくれていましたが、退院すれば僕がやらねばと思っていました。
今年1月、退院前カンファレンスの時ケアーマネジャーが良いエアーマットがあると、レンタル業者に手配してくれ母の退院にあわせて届いたのが写真のものです。


自動で体位変換してくれるエアマットレス、しかも「むれ」「ひえ」の対策出来ています。
一言!! めっちゃいいです。
全自動で体位交換やってくれるすぐれものです。
現在母は、右足に負荷がかけられないため、医師の指示でリクライニングタイプの車椅子を使っています。
今年1月末退院時は、車椅子に乗せてもすぐに疲れて座る姿勢を長く維持できませんでした。
何度も引っ張り上げて姿勢を直したりするのですが、少しするとだんだん下にずれていきます。
そのため、疲れたらリクライニングにして休ませながら車椅子にいる時間を少しずつ伸ばしていきました。
これだけでもリハビリになっていて、この車椅子は非常に役立っています。


母は6年間のうち歩行器を使っていた時期は3年ほどでした。
歩行器を使っているうちは足取も安定しているのですが、台所や浴室、トイレに入るのに歩行器から手を放した途端、危なっかしくて見ていられません。
入浴は週に1度だけですが、トイレは1日何度も行かなければなりません。
トイレに行きたくても、父が外出してすぐに帰って来なかったりすることはしょっちゅうでした。
そんな時は1人でトイレに行っていたようですが、目も不自由なのでトイレに行って帰ってくるだけで30分以上かかるとこぼしていました。
冬はうちのトイレが寒いので、もしコケたりして動けなくなったら、と思うとトイレに行くのも命がけです。
そのため、センサー付きの電気ヒーターをトイレに置いていましたが、やはり日中は無責任な父が見ているだけに心配でした。
たまたま福祉用具をレンタルしていたこの会社が、住宅改修の取次をしていましたので相談して浴室とトイレに手すりをつけていただきました。
費用は要介護度ごとの毎月の利用限度額とは別に、20万円を上限枠とした住宅改修工事が1割負担で出来ます。
利用は原則として1回ですが、20万円の範囲内であれば数次に分けた工事が可能です。
介護リフォームの工事内容はあらかじめ、次の6つに決まっています。
2)段差の解消
3)滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
4)引き戸等への扉の取替え(扉の撤去を含む)
5)洋式便器等への便器の取替え
6)その他上記に付帯する必要な工事
これ以外の工事については、介護リフォームの対象になりません。
大規模な住宅改修や新築工事は、介護保険では認められませんので検討されておられる方は前もって確認しておいた方が良いでしょう。
ちなみにわが家は、浴室とトイレ2箇所。


出入り口付近まで手すりをつけていただいて10万円ほどでした。
歩行器で自宅の中を移動していたときは、母にとってなくてはならないまさに体の一部でした。
入院中、よく病院に持ち込んで歩行の練習をしていたので僕にとっても、母にも思い出の多い用具です。
病院に置いてあるものは、母にはサイズが大きく、かと言ってしばらく歩かなければ歩行できなくなっていた!と言うのも困まります。
シンプルな作りで折り畳み式、タイヤが付いていてもとても軽い。本当によく設計された用具でした。
確かこの歩行器の毎月のリース代は500円だったと記憶しています。
購入の場合は、介護保険の対象外なので、全額自己負担になります。
歩行器の定価を調べると2万5.000円ぐらいでしたので4年そこそこ使うとチャラです。
歩行器を基準に考えると、定価2万円前後のものを3~4年以上使えば購入した方がお得になる計算です。
僕が、最初に購入した点滴台は確か1万円程度だったと思います。
調べてみますと点滴台は介護保険でのレンタルは適応外のようですが、もしベッドのオプションで点滴を吊るす棒があったとして、おそらく月々300~500円のリース代になると思います。
リース代が300円として3年弱で購入金額を消却、既に6年半使用してこれからも使い続けますので点滴台は購入した方がお得だったということになります。
逆に杖は1万5.000円で購入して母の日のプレゼントにしたのですが、すぐに歩行器にシフトしてしまってほとんど使用していません。
そう考えるとレンタルはその時の状態に合ったものに変更できるメリットがあります。
身体の状況に左右される用具はレンタルの方が無難で経済的ですね。
「利用者の心身の状態に合わせて、必要な福祉用具を必要な期間利用できる。」これがレンタルの最大のメリットです。
また、購入するのと異なり、レンタル期間中は保証の対象になりますので安心です。
さらに必要なくなったとき、粗大ゴミで困ることもありません。
以前購入して役割が終わった入浴補助用具3点はメルカリに出品しましたが簡易トイレは大きすぎてまだ家で眠っています。


介護用品の購入・レンタルのお得度は、定価2万円前後のものを3~4年以上使用を基準として考えると、安価のものは購入した方がお得ですが、車椅子やベッドのような高額なものは購入金額消却に十数年かかります。
途中で故障や使わなくなることを想定すると
結論は、介護保険を利用したレンタルの方がお得です。
余談ですが、レンタル中のベッド(オスカー)で昼寝したことがありました。ベッド上が快適すぎて、怠惰な夜の生活におぼれそうで健常者が使うのは注意が必要です(笑)
車椅子も母のように全く歩けないのなら別ですが、あくまでも車椅子は移動をする手段だと考えると、少しでも歩ける方は可能な限り移動後は車椅子から降りたほうがリハビリにもなって良いと思います。
福祉用具や介護用品は、患者が少しでも自立した日常生活を送れることをもとに考えられていると実際に利用して感じます。
今の身体状況で必要な商品機能と、症状進行や加齢を経た3年、5年後に必要な機能は違ってきます。
用具選びで大切なことは「今すぐ必要なもの」と「この先必要になるもの」を整理してきちんとプランを立てることです。
2)車いす付属品
3)特殊寝台(電動ベッド)
4)特殊寝台付属品
5)床ずれ防止用具(エアマット、ウォータースライダーマット)
6)体位変換器(てこや空気圧などの動力を用いて、寝たきりの利用者の体位変換を楽に行うもの)
7)手すり(取り付け工事を伴わないもの)
8)スロープ(段差解消のためのものであって、取り付けに際し工事を伴わないものに限る)
9)歩行器
10)歩行補助つえ(松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチおよび多点杖)
11)認知症老人徘徊感知機器(認知症老人が屋外に出ようとした時または屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの)
12)移動用リフト
13)自動排泄処理装置