コロナ鍋にあってテレワークが加速する中、地方に移住を検討されている方もおられるのではないでしょうか.
仕事さえクリアできれば、地方の方が物価も安いですし自然豊かな環境で子育てできることに魅力を感じる人も多いと思います。
と言う訳で、奈良県の人気の街を解説させていただきますので参考にしてみてください。
目次
都道府県「街の住みここち」ランキングで奈良は8位
下記は、大東建託株式会社が発表している「街の住みここち」都道府県ランキングの2020年度版です。
- 東京
- 兵庫県
- 福岡
- 神奈川
- 大阪府
- 京都府
- 愛知県
- 奈良県
- 沖縄県
- 広島県
奈良県を一言でたとえると、歴史遺産がたくさん残る大阪のベッドタウンです。
奈良盆地に点在するニュータウンは住宅街で開けていますが、少し離れると田畑が広がるそこそこ田舎。盆地以外は山間の町や村になるので、過疎化が深刻です。
そんな奈良県が、48都道府県の中でこんなに上位だとは意外でしたが、大阪のベッドタウンという視点から見れば兵庫、京都も順位が近くにあるので、これくらいの位置が順当だと思います。
県内の住み心地ランキングトップ10は?
奈良県内の、自治体ランキングです。
順位 | 昨年 | 自治体名 | 偏差値 | 評点 |
1位 | 1位 | 北葛城郡 王寺町 | 69.1 | 1.05 |
2位 | 2位 | 北葛城郡 広陵町 | 60.4 | 0.82 |
3位 | 3位 | 生駒市 | 59.6 | 0.80 |
4位 | 4位 | 葛城市 | 59.1 | 0.79 |
5位 | 6位 | 橿原市 | 57.7 | 0.75 |
6位 | 7位 | 奈良市 | 57.3 | 0.74 |
7位 | 5位 | 香芝市 | 56.9 | 0.73 |
8位 | ー | 生駒郡 三郷町 | 53.4 | 0.64 |
9位 | ー | 生駒郡 平群町 | 52.4 | 0.61 |
10位 | 8位 | 天理市 | 51.7 | 0.59 |
下記地図で、赤色で記した箇所が住み心地ランキングの上位の各自治体の場所です。

共通点は、いずれも奈良県の北西部にあってやはり大阪のベッドダウンの要素を持っています。
大阪ビジネス街の本町にも、1時間から長くても1時間半までには収まる通勤圏内で、勤務地によっては大阪の南にある岸和田や北にある茨木などよりも逆に近かく利便性も良いです。
この順位を見る限り、JRや近鉄の沿線に集中していて、大阪へのアクセスの良さが大きく反映された結果となっています。
奈良県の治安や教育、自然災害は大丈夫?

他府県に引っ越しとなると、それなりに一大プロジェクトなので治安や自然災害も知っておきたいところ。
重要度が高いのは治安、子供の教育、交通、医療、自然災害、行政の受け入れ体制や取り組みといったところでしょうか。
まずは、各自治体に共通することを評価したいと思います。
治安
全国的に治安が急速に悪くなっているように感じる今日この頃、奈良県も物騒な事件が日々起っています。
小学生の通学も大人の付き添いが必要で、ひと昔前では考えられない状態です。
特に、深刻なのは高齢者を狙った特殊詐欺。
3億1070万円は、昨年1年間に県内で確認された特殊詐欺の被害額です。
件数にして175件になります。
金額だとあまりピンときませんが、特殊詐欺の人口10万にあたり認知件数は、神奈川、東京、千葉、大阪・・・の順に奈良県が全国で7番目と高いです。
奈良が狙われる理由に、相手をだます電話をきっかけにはじまり、最後に受け子と呼ばれる担当が実際にお金をだまし取る特殊詐欺の手口にあると言われています。
受け子が、大阪からアクセスしやすい奈良をターゲットにしているとみられ交通の便の良さが逆に仇となっているようです。
子供の教育
超難関校の私立の東大寺学園や西大和学園は別として、昔から公立校が強い土地柄です。
トップ進学高校が名を馳せており、その学校目指して公立中で勉強するというのが30年前の僕の時代でしたが、街でよく見かける進学塾の進路高一覧の張り紙を見てもその傾向は現在も変わっていないと思います。
奈良の人は子供の教育に熱心ですが、ちょっと偏差値にとらわれ過ぎている感が否めないです(-_-;)
一方で、子供の個性を伸ばす選択肢には欠ける環境なのかもしれません。
習い事も、主に習字、ピアノ、スイミング、野球、サッカーなど一般的なものしかなく、都会から越してきた方なら物足りなさを感じるのではないでしょうか?
近年は、音楽科、美術科、デザイン科などでマンツーマン授業を行う特色ある教育をしている公立高校もあるようですが、幼い頃にいろんなことに触れる機会が都会の子供よりも少ないように思えます。
交通
奈良県は、車社会です。
上位にランクされている街は、スーパー、コンビニも適度にあるので不便はないですが、東京や大阪のように密にある訳ではないので移動は必然的に車になってしまいます。
公共交通機関と言っても、電車は主要な街しか通っていないですし、バスに至っては利用者が少なくダイヤが減る一方で廃線が増えているのが現状です。
医療
奈良県は、民間の中小規模の病院はたくさんありますが大きい病院が少なく高度な手術ができる病院となると選択肢が限られます。
奈良県立医大、近畿大学奈良病院、天理病院(よろづ相談所)などその次に準ずる病院が数件と言ったところでしょうか。
僕が不安に思うのは、脳梗塞や心筋梗塞のような予期せぬことが起こったとき。
適切な処置が遅れることによって、助かる命も助からなかったり、後遺症が残る可能性もあるだけに、救急医療体制、高度医療については大阪市や兵庫県の西宮市に比べて相当遅れをとっているように感じられます。
いざという時、対策がなされているレベルの高い病院が複数ある都会では、行き当たりばったりでも事なきを得ることが普通だとしても地方だとそういう訳にはいきません。
産婦人科についても、同じことが言えると思います。
かかりつけ医を持つなどして、スムーズに対処できるようなルートを持っておくことが必要です。
医師不足や経営難で統合したりして、病院が無くなっていく地方の抱える問題ですが、奈良県も地域によってはこの問題に直面しています。
自然災害
山に囲まれる奈良県の自然災害のリスクは、地震と豪雨による水害の2つです。
まず地震ですが、奈良県も活断層による地震のリスクとは無縁ではありません。
県が、深刻な被害をもたらすとしている活断層は下記図のように8つあります。

中でも最もリスクが高いとされているのが、赤で記している奈良盆地東縁断層帯。
長さは、京都府城陽市から奈良市を通って桜井市までおよそ35kmに及びます。
活断層は、数千年程度の間隔で繰り返し地震を引き起こしているとされているので、地震の期間が長くなるほど次の活動時期が迫りリスクは高まると考えられているのですが、幸か不幸か日本で一番長い期間地震が起こっていないのは奈良市だそうです。
1000年以上前の文化財が、たくさん残っているのは安全な証拠なのかもしれませんが、いつ地震が起こってもおかしくないという専門家もいるので、備えが必要だと言うことには変わりありません。
奈良県は、豪雨による水害の被害にも注意しなければなりません。
記憶に新しいのが、2年前の西日本豪雨。
その2か月前にもめちゃめちゃ雨が降って、一部浸水する地域がでてきて県内各地に避難指示が出される事態となりました。
問題は、奈良盆地の水害が起こりやすい地形です。
河川図をご覧いただいて分かるように、大和川水系は出口から河川が扇のように広がっています。

見方によっては、出口あたりが根元だとすると奈良盆地に根が張りめぐらされているようにも見えるのですが、豪雨になると雨水が一気に出口に集中する構造です。
しかも、出口あたりの奈良と大阪の際は山間でよく地滑りが起こる昔からの難所。水がせき止められると大きな被害がでるので、昔から大がかりな工事をしているところです。
後ほどご紹介する王寺町が、この出口に位置するのですが豪雨を想定した雨水対策には余念がありません。
県も、雨水を一旦貯留する施設を整備するなど治水対策には力を入れています。
行政の受け入れ体制や取り組み
ランキングされている自治体の多くは、40~50年前から移住者を受け入れている実績があるところばかりです。
行政の移住相談、支援も整っているので心配ないと思います。
コロナ鍋にあって、企業の誘致に積極的に取り組みをしている自治体もあるくらいです。
詳しくは、各自治体のホームページでご確認ください。
各自治体の財務状況
普段、あまり気に留めない行政の役割ですが、コロナ鍋にあって市民の命や健康、これまでのサービスをどのように守ってくれるのかは気になるところ!
危機が訪れているのに、財政難で無策だなんてことは勘弁して欲しいものです。
とは言え、全国どこの自治体も財政難。
奈良県も例外ではありません。
ランキングの中で、財務状況が良い自治体は、生駒市、三郷町、香芝市。
普通は、王寺町。
やや悪い自治体は、葛城市、広陵町。
悪い自治体は、奈良市、天理市、平群町。
奈良県のホームページから、各自治体の財政状況を確認できるのでリンクを貼っておきます。(あなたのまちの財政状況:奈良県地域振興部市町村振興課)
各自治体のリーダーはどんな感じ?
介護離職がきっかけで、地元の情報に関心を持つようになりチェックするようになって4年。
市長や町長が、陣頭指揮を執り積極的に新しい取り組みをしている自治体もあれば、市長と議会が対立して市民を不安に陥れる事態になった自治体も実際にあります。
僕が注目しているリーダーは、王寺町の平井町長、生駒市の小紫市長、天理市の並河市長。
元々、県民の関心が高い地域ということもあって奈良テレビでよくお見掛けするからかもしれませんが、ツイッターで積極的に情報発信もされているので親しみもあります。
僕が3人に共通して感じることは、嘘のない誠実さ。
それと、担う街の将来の在り方のビジョンが明確だと言うこと。
聞いていて話も分かりやすいですしレスポンスも早いので、これらの役所で働く職員の士気も高いと想像できます。
三郷町も良いイメージです。
三郷町をネットで調べると、積極的に情報発信されて「行政のみえる化」が進んでいそうに感じます。
移住を検討している自治体のリーダーを知っておくことも、不安緩和の材料になるのでチェックしておいた方が良いと思います。
全国1位にランキングされている王寺町はどんなところ?

北葛城郡王寺町は、上の地図にもあるように奈良県の北西部にある大阪府と隣接した街です。
面積は、奈良県でも比較的小さな街の1つですが、やはり魅力は大阪へのアクセスの良さでしょう。
鉄道は、JRの関西線と和歌山線、近鉄の生駒線と田原本線が乗り入れています。
大阪天王寺駅は20分もかかりませんし、奈良駅にも15分で行ける絶好の場所です。
それに西名阪自動車道が、王寺町の近くを通っているので車のアクセスもよく本当に便利だと思います。
街の様子はどんな感じ?
王寺町は、北にあたる駅周辺と南に王寺ニュータウンを中心に栄えています。
王寺駅周辺は、マンションが立ち並びSEIYUや飲食店もあるのでこのエリアだけちょっとした都会です。
昨年、駅前にビジネスホテルの東横インができてビックリしました(笑)
一方、王子ニュータウンは閑静な住宅街。
以前、ブラタモリの法隆寺の回で、タモリさんが明神山に登っておられましたが、40年前にその麓を切り崩してニュータウンが作られました。
このニュータウン内には、幼稚園や小学校もありますし、比較的治安も良い土地柄なので子育て世代も安心です。
最近も大規模な分譲していたようなので、かなりの人が流入していると思います。
不便なことは?
ショッピングモールや映画館、遊戯場、それにイベント施設など、若者が好みそうな施設は皆無です。
余計な誘惑が無い分、学業に専念できる環境と言えばそうかもしれませんね(笑)
スーパーや量販店も、車で10分以内の距離に結構あるので不自由はありませんが、飲食店はチェーン店ばかりで飽きてしまいます。
あと、王寺ニュータウンは駅までが不便です。
バスが通っていますが便が少ないですし、徒歩だと住む場所によっては30分以上かかります。
自転車だと、行きは下り坂であっという間ですが帰りが大変です。
それにニュータウン内にスーパーが一軒しかないのも、車で移動できない人にとって厳しいですね。
町政運営は?
ひと昔前の王寺町の印象は、交通の利便性が良いだけの通過点の街。
どこにでもある田舎で、とても住み心地ランキングにあがるような街ではありませんでした。
明らかにイメージが変わったのは、現在の平井町長になってから。
国道の拡幅工事や、妊娠、出産期から子育て期の支援を行う施設の開設、観光にも力を入れて短期間で次々と結果を出しています。
今、注目されているのは来年開校される小中一貫の『義務教育学校』。9年一貫した教育で、学力向上と学習環境の整備がねらいです。
そのため、町内にある3小学校と2中学校の5校を北地区と南地区の2校に集約するべく、新たに学校が建設されています。
とは言っても、北地区はドドーンと新たな場所に新築ですが、財源に限界があるのでしょう。
南エリアは、現在の小中学校に耐震工事を施し補強してそのまま使うようです。
さすがに、急激な変化に波風も大きいみたいですが、新しいことにチャレンジする町の姿勢は称賛に価すると思います。
その他にも、王寺町ホームページを観れば街を盛り上げる政策は多岐に渡ります。
全国住み心地ランキング1位も、これらのことが評価された結果なのでしょう。
おわりに
最後に、奈良県を移住先に検討されている方に!
僕のおすすめは、通勤電車の3カ所の車窓風景です。
JRで王寺から大阪に出る際、わずかなあいだですが川と山間の景色がきれいで和まされます。
近鉄奈良線は、奈良県と大阪府の県境にある生駒山を超える区間の高台です。
その高台からは大阪の街を一望できるのですが、特に夕方の景色は美しすぎて癒されます。
近鉄京都線は、橿原神宮駅から京都駅。
藤原京~平城京~平安京と、急行で約1時間の歴史の旅が満喫できます(笑)
何はともあれ、奈良県おすすめです。