先日、ニュースを観ていると入社一週間で会社を辞める新卒が取り上げられていました。
「一生を左右しかねないことなのに、たった一週間で会社を辞めるなんて!」
世間一般的にはそうなのかもしれませんが、僕はそうは思いません。
30歳を超えると、転職は難しくなるので石にかじりついてでも辞められなくなってしまいます。
退職をあおるわけではありませんが、その会社に合わないと思えばむしろ早々に見切りをつけた方が得策です。
僕が勤めていた会社は、盆正月など大型連休明けに退職願いを提出する人が多かったので、このゴールデンウイーク中にも真剣に退職を考えている若者は多いと思います。
今回は、僕が20年勤めた会社の退社理由を5つご紹介いたします。
やりたいことにチャレンジするため
うちの人事担当は「スキルアップ」、「キャリアアップ」という言葉が嫌いだと言います。
この言葉は、退職理由の鉄板であくまでもタテマエだとバレバレなのに本音がまったく分からないからだそうです。
履歴書や面接の入社希望理由にも、この便利な言葉がよく使われるので、
「具体的に何を向上させたいのか?」「スキルアップは当社に生かせるのか?」と聞くそうですが、きちんと答えられる人は少ないようです。
なので、この言葉を聞くたび嫌気が刺すと言っていました。
そのように聞くと退職理由は、このようなぼやけた理由がいいかも分かりませんが志望理由は上手く使わないとマイナスイメージになりかねませんね。
余談ですが、過去に「女子力アップ」と履歴書に書かれていたことがあったらしく、呆れた話しになっていたので気をつけなければならないワードです。
勤務時間の不満

「帰宅時間が、最終の宅配の時間に間に合わないような会社は辞めるべき!」
ある新卒女性の御両親が言った言葉だそうです。
地方出身者で一人暮らしだったため、宅配が受け取れないのを不思議に思ったのでしょう。
御両親からすると当然のことですが、帰宅時間が21時を超えるような会社は辞めるように厳しく言われたようでした。
また、結婚を機に退社する人やパートになった人もいました。
やはり時間の縛りがネックで、うちの会社は結婚や子育てを支援する配慮はほとんど無かったです。
また、始業は9時と言うことになっていますが、男性社員のほとんどは1時間近く前には出社して仕事をするのは当たり前のことでした。
僕のように年中仕事に追われて、早くから出社せざる得ない者もいたと思いますが、そうでない人の方が多いはずです。
夜もそうです。
終業時刻が過ぎても、帰りづらい雰囲気がみなぎっているので仕事にキリがついていてもなかなか帰れませんでした。
今なら、これだけで十分に退職理由ですよね。
社風が合わない
以前の記事をなぞりますが僕のいた会社は、ワンマン会社で体質も考え方も古いのが特徴です。
それに上司には、絶対服従でした。
創業出身の社長が3代世襲されて、独特の変わった文化が出来上がってしまった感じがします。
例えば、残業代は一切つきません。
営業は、全てサービス残業です。
会社の言い分は、あらかじめ基本給に織り込んでいると言います。
なるほど給与が低い不満は、今までに聞いたことがないのでそれなりだと思いますが基本給と残業代とは別の話です。
普通は低給与で、進んで残業をこなさないといけないとはよく聞きますが、うちは逆でした。
それに正当な残業代を計算すれば、基本給に少し上乗せぐらいでは見合わないで、もちろん心の中では誰も納得していません。
人間関係の不安

退社理由が人間関係とは、さすがに表立っては言えないので体裁のよい別の理由にしがちですが「会社の人間関係」が本音の人も多かったと思います。
僕のいた大阪支店に限れば、肉食のお局様ツートップが何かと影響力が大きくて働きずらかったです。
自分の保身のためだったら、他の社員のあることないこと上にチクって蹴落とす、えげつないおばはんが2匹いました。
しかもこの2人とにかく仲が悪く、常に冷戦状態なのです。
バッティングする時は、仕入先からのお歳暮を社員に分配する作業の時で必ず陣頭指揮をとりたがるので小競り合いが始まります。
火花を散らしているその姿は、まるでドラゴンボールに出てくるフリーザーの両脇に控える、ドドリアさんと変身後のザーボンさん。
上役には、おべんちゃらを言ってご機嫌をとり、仕事もできるので戦闘力は高いです。
しかも女子で、徒党を組みグループ化しています。
2つの勢力は、力も拮抗しているので、その中に巻き込まれる人たちは本当に災難です。
嫌気が刺して辞める人もいましたし、若い女性社員もいびられて僕に相談にくる人もいる始末でした。
やるせないのが、僕の方が役職は上でも彼女らが目上であること。
入社した頃は、この2人共に上司だった時期があり、出来るだけ波風は立てたくないのが本音です。
しかも向こうは肉食獣で、いまさら狩られるのも嫌すぎます。
ちなみに、この2人忘年会でビールの一口目「うんめぇ~」と言ってました。
さらに、この2人に輪をかけたえげつない支店長がいましたので、こんな会社に希望が持てなくなってしまった人もいると思います。
仕事のオン&オフのコントロールができない
仕事と、私生活のバランスがうまくとれない悩みを持った人が意外と多かったです。
原因は、一人ひとりの仕事量の多さと、ミスを許さない会社の風潮だと思います。
休日などに仕事のことが浮かぶと、気になって頭から離れない人は本当に辛いようでした。
僕は、たとえ入浴中や寝る前に忘れていた事を思い出しても携帯から会社のパソコンにメモを送って、その場は忘れるように努めていましたが心配性の人はこれでは忘れられないようです。
さらに追い打ちをかけるのが、貿易商社の宿命というべき日本に入荷する商品着日のサイクルでした。
商品が週明けに入荷することが多かったので、問題が発生すると貿易部からの連絡が常に週末に入ります。
トラブルを知ってしまうと、当然くらーい休日を過ごさなければなりません。
普通でも、月曜日は仕事初めの嫌な日なのに、まさしくブラックマンデイです。
楽観的な僕でも、これは相当堪えていました。
おわりに/人が会社を去る本当の理由

僕が勤めていた会社の営業に関しては、仕事内容が面白くないだとか、給与面での不満は聞いたことがありませんでしたし、それに関しては僕も不満はありませんでした。
しかし営業は、売り上げを伸ばせば昇進するのも早い替わりに、そのあと維持しなければならないプレッシャーも相当なもので潰れていった人も多かったです。
あと退職理由としては、実家に帰るだとか、親や親戚の仕事を手伝うことになったからだとかありましたが僕の知る限りすべて体裁です。
結局のところ、人が会社を去る理由は、経営者や上司についていけないという人間関係が本音だと思います。
ただ、この問題は会社を退職したからといって解決する訳ではありません。
他の会社へ行っても付きまとう問題なので、自分なりにそこはクリアにしておいた方が良いと思います。
もちろん、単に体がキツイだとか、漠然と会社に行くのが嫌だという人は、見切りで退職すると後悔するかもしれないのでもう少し様子を見るべきです。
実は、僕も20代に辞めようか悩んでいた時期がありましたが、気づけば30歳を超えてしまい辞められなくなってしまいました。
結果オーライとは思いませんが、僕のようなたいした能力もない人間が、たいした信念もなしに会社を辞めてもろくなことはありません。
この会社で20年働いた今だからこそ、そう思えます。