熱中症が重症化すると、深刻な後遺症が残ったりすることは意外に知られていません。
熱中症で亡くなった方は報道されますが、後遺症が残ってしまった人もたくさんおられる事実をご存知の方はどれだけおられるでしょうか?
特に、脳神経にダメージがあると記憶が低下したり、身体の一部が動かなくなったりすることもあるので本当に怖いです。
母は熱中症によるものではありませんが、低ナトリウム血症という症状でけいれんを引き起こして、脳神経にダメージを受けてしまいました。
結果、記憶力が低下して右腕にマヒが残りました。
脳神経は、一度ダメになると元には戻りません。
熱中症は、少し気を付ければ防げます。
知識があれば、自分だけでなく家族も守れる類ですので、今回は熱中症についてまとめました。
目次
高齢者と子どもは熱中症にかかりやすい
「命にかかわる危険な暑さ」「熱中症による病院搬送者は過去最高」という言葉を、今年頻繁に聞きますが、決して大げさではない猛暑が続いています。
奈良県内でも、16日から22日までの1週間に病院に搬送された人は過去最多の426人に及んでいるそうです。
人数を聞いてもピンときませんが、平成23年に統計を取り始めて以降としては最も多いとのこと。年齢別では、65歳以上の高齢者47%、18歳未満21%、発生場所では、住宅が44%、学校などの教育機関が11%となっています。
数字で見ると、やはりお年寄りと子どもが多いです。
往診に来てくださる医師からも、熱中症やその疑いで来院される患者さんが増え続けているので、両親が熱中症にならないように気をつけてあげてくださいと言われました。
高齢者は熱中症に気づきにくい
熱中症は、脱水症状から始まります。
高齢者は、暑さやのどの渇きを感じにくいため次第に汗をかきにくくなり、体温調節の機能が低下して気づかないうちに脱水症状になっていくのです。
蒸し暑い夜でもお年寄りは、エアコンを我慢したり、トイレが面倒だからと水分補給を控えてしまいがちなので、お年寄りには、声かけなど気づかいも大切です。
子どもは、体温を調節する機能がまだ十分に発達していないため熱中症にかかりやすい
子どもは、大人に比べて背が低いので、地面からの照り返しの影響をモロに受けています。
大人と子どもでは、気温の感じ方に差があるのです。
身長150cmの大人が顔の位置で測った気温が32度だとすると、身長50cmの子供では35度になります。
ベビーカーの中の温度は、さらに高温になります。
暑い日は帽子をかぶらせ、外では長時間遊ばさないように注意してあげてください。
熱中症の症状
脱水症状になると頭にくる血流が弱まるため、めまい、立ちくらみが起ります。
筋肉に血流が減ると筋肉が痛くなったり、足がつったりもします。
そうなると運動中でも、急に身体が痛くなって力が入らなくなることもあるようです。
これは、単に筋肉がつっているのではなく、熱中症の症状です。

中等度、重度になると脱水症状に加えて異常な高体温の状況になります。そうなると、身体の中のいろんな臓器が、偏性(へんせい)をおこして障害が出てきてしまう多臓器不全という怖い状態に陥ることもあり得ます。
また、脱水症状がひどくなると血液がドロドロになって血のかたまりが出来てしまい、頭や心臓で血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞ななる原因にもなりかねません。
万一熱中症になってしまったら
熱中症になってしまった人には、早めの手当てが何よりも重要です。
とにかく体を冷やして、水分を補給することが基本です。病院に運ばれた時点では、遅くなってしまっていることが多いので、現場でしっかりとした対応をすることが大切です。
- まず、日陰や涼しい場所に移動させます。
- 足は少し高く上げ、衣服をゆるめて靴下を脱がせます。
- 氷のうや濡れタオルで身体を冷やします。
- 首すじや脇の下、内ももなど太い動脈のある場所を冷やすと効果的です。
- 水分や塩分を少しずつとらせます。
自分で水が飲めるかどうかで、症状の度合いが分かります。
呼び掛けに応えない時には、迷わず救急車を呼んで直ちに医療機関で治療を受けてください。
昼夜の熱中症の割合は?
熱中症で亡くなる方の割合は、昼間6割、夜間4割で夕方以降の119番通報も多く夜間も注意が必要です。
ただ、夜間に熱中症を発症するというよりも、昼間に熱中症を発症しているケースがほとんどのようです。
昼間のうちに実は具合が悪くなっていて、それを十分な回復をさせないまま夜を迎えて具合が悪くなるケースです。
これは、高齢者の方も若い人たちも同じです。
暑熱環境の昼間、体調が悪くなれば、この時点でしっかり水分と休憩をとって回復させることが重要です。
熱中症の対策は?
猛暑の続く中、我慢せずにエアコンを使用することが大切です。無理な節電は禁物です。
熱中症は、屋外だけでなく高温多湿であれば屋内でも起こります。
節電をしながら熱中症の予防をするには、設定温度は28度がオススメです。
同時に、扇風機の併用で空気を循環させれば、より快適に過ごすことができます。
ただし、暑いところから帰って来て、急にエアコンの効いた寒い部屋に入ると身体に負担がかかることもあります。
急に、24度以下の部屋に入ると体温調節が上手くいかなくなることもあるので、部屋の温度を下げ過ぎないように注意して下さい。
夜も最低気温が25度を下回らない熱帯夜が続いています。夜間、タイマーでクーラーが切れてしまうと、夜中にどんどん室温が上昇して危険です。
就寝中は、無防備のうえに水分も奪われる一方です。
暑くなったことに気づかないままなので、熱中症になりかねません。
夜間の熱中症を防止するために、寝る前にコップ一杯のお水、5分くらいゆっくり時間をかけて飲むこともポイントです。
一気に飲んでしまうと、体が水が多いと勘違いしてしまい尿として出してしまいます。
なので、体をだましながらゆっくりとって蓄えるのが、寝る前に水分補給するコツです。
特に、この1ヵ月間は、夜間エアコンはつけっぱなしにして、除湿ではなく冷房で対処する方が賢明です。
おわりに/初期症状を見逃さないことが大切
めまい、生あくび、疲れの症状が熱中症の初期症状です。
日頃ありそうなことが、熱中症の初期症状だったりすることもあるので、気を付けなければなりません。
軽度から重度に移行するスピードも、高齢者よりは子どもの方が格段に早いので蒸し暑いに日に、これらの症状があった時は周囲の大人が注意してあげてください。