もし、「在宅」か「施設」の選択をしなければならなくなったら!?
僕は、療養型施設か在宅介護の2択を迫られた経験をしています。
それは4年半前、母が大腿骨を骨折したときのこと。
術後の状態が芳しくなく、半年ほど入院していたときのことです。
結局、「在宅」を選択して介護離職しましたが、それでも仕事を継続するため2か月ほど療養型施設の転院を模索しています。
今回は、このよう経験から「在宅と施設の選択」で知っておきたいことをまとめましたので参考にしてみてください。
目次
まず、公的施設を把握しておく
皆さんは、親の状態に合う施設を把握していますか?
特養、老健、介護療養型医療施設、介護医療院。
施設探しは、まずこの4つから探し始めるのが一般的。
なぜか?介護保険が適用される入居一時金が不要の公的施設だからです。
それに介護保険の限度額の枠内ですが、自己負担額が1~3割に抑えられるので民間の施設に比べ費用が安くつきます。
特別養護老人ホーム(特養)
特養の入居対象は、介護保険で要介護3以上の認定を受けた原則65歳以上の高齢者。中長期的に生活される高齢者をサポートするための生活援助や身体介護を中心におこなう。費用については、個室や多床室、負担軽減制度等で月額費用は異なるが、一般的に他の施設に比べ費用が安いため入所希望者が多く、待機人数も多くなっているのが現状。
介護老人保健施設(老健)
老健は、急性期医療を乗り越えた高齢者患者に対して在宅復帰に向けたリハビリを行う施設。退院後、在宅での生活に戻ることを目的にしているため、リハビリや医療的ケアを中心とした生活をおくる。老健は、医師、看護師も常勤なので胃瘻の管理も可。特養や、さ高住入所までの繋ぎで入居に利用されることもある。
介護療養型医療施設
療養型施設は、医療ケアが必要な方、寝たきりのような介護度の高い要介護者向けの介護施設。常勤医師、看護師の人員配置が他の施設より手厚く、中心静脈栄養、インスリン注射、痰の吸引などの医療処置に対応。
各施設の特徴と違いを確認する
公的施設の特徴を、表にしてみました。
特別養護老人ホーム(特養) | 介護老人保健施設(老健) | 介護療養型医療施設 | |
---|---|---|---|
施設の役割 | 重度の介護を必要とする方が、少ない費用負担で長期入居できる施設 | リハビリをして在宅復帰を支援する施設 | 寝たきりなど、比較的介護度が高い方を中心に受け入れている施設 |
運営 | 社会福祉法人 | 医療法人 | 医療法人 |
介護度条件 | 要介護3以上 | 要介護1以上 | 要介護1以上 |
期間 | 終身利用可 | 3か月ごとに入所継続を判断 | 長期可 |
医療体制 | 必要最低限(非常勤医師) | 手厚い(常勤医師) | 手厚い(常勤医師) |
入居状況 | 待機者多い | 入居しやすい | 長期の入居待ちも |
認知症 | 対応 | 対応 | 対応 |
介護医療院
僕が、探していたときには無かった施設です。
2023年に介護療養型医療施設の廃止に伴い、その受け皿として2018年に介護医療院が創設されています。
介護療養型医療施設の廃止の理由は、医療や看護をほとんど必要としない入所者も多く介護保険給付費の無駄が指摘されていたこと。
医療保険が適用される療養病床と、機能が似ていることが問題となっていたためです。
この問題を解消すべく、病院のイメージが強かった介護療養型医療施設とは違い、機能維持を重視したリハビリや日常生活全般の介助を行う「生活する場」を意識した施設にするようです。
表にすれば、施設の特徴が分かりやすいですね。
ちなみに、費用は左から右へ高くなります。
施設を探す手順としては、まず、公的施設を当たってみて合う施設がなければ民間を探す感じです。
実際に施設に足を運んで施設の雰囲気や費用を確認する
母が、要介護になった2年後、今から8年前に療養型施設の見学に行っています。
このとき、僕が知りたかったのは、母の現状の能力で施設に入居するとどのような生活になるのかとその費用。
療養型施設がどのようなところで、どのくらいの費用がかかるのかネットでは分からなかったからです。
このとき、母は要介護2か3だったと思います。
まだ、歩行していて目も全く見えなかった訳ではなかったのですが、どちらも日常生活に支障を及ぼすレベルで、身の回りのことすべてに少しずつ介助が必要な状態でした。
このときすでに、点滴管理がネックで公的施設は療養型しか選択肢はなかったです。
実際に行ってみて思ったことは、療養型施設は生活介助が期待できないということ。
病院と同じで、1日中誰とも話す機会がなく、ただベッドに寝ているしかないほぼ寝たきりの生活になってしまうということです。
それまでも、腸閉塞やポート感染などで1か月ほどの入退院を繰り返しては、認知症にならないかと心配してきただけに、ぎりぎりまで在宅で生活しなければと強く感じました。
施設に入れば、それなりに生活できるのでは!?
なんて、淡い期待は見学に行って打ち砕かれたわけです。
3件見学に行きましたが、費用はまちまちですね。
母の年金は、約6万円。
足りない分は僕が補わなければならないので、20万円くらいなら何とかと思った施設はありました。
しかし、高額なおむつ代が別途だったということを後で口コミで知って、施設の案内を聞いているだけではダメですね。
「特養」「療養型」の申し込みだけは早めにしておく
条件が良い施設は、どこも順番待ち。
入れたいときに入れないのが、介護施設だと考えておいた方が良いでしょう。
特に、特養は待機者が多いと聞きます。
僕も、療養型施設に見学に行った際、順番待ちをお願いして帰ってきたのですが連絡があったのは2年後でした。(このときは、まだ必要ないと思いお断りしています)
このように「在宅か施設の選択」に迫られてから施設を探しているようでは、希望するような施設にすぐに入所することは難しそうです。
すでに在宅介護をしている方は、あらかじめ親が入所できる施設を見学して申込みをしておいた方が良いと思います。
あと、両施設とも申込み順ではなく介護度の高い人が優先的に入居できる仕組みなので、申込みをしたあと介護度が変わったりすれば連絡してフォローもお忘れなく。
在宅介護について!課題を把握してクリアにしておく
何が整えば、在宅が可能になるのか?
特に、親の介護度が高い場合は、前もって受け入れる準備をしておくことが大切です。
母が、大腿骨を骨折したとき、これまでも在宅介護をしてきたので安易に考えていたのですが、下記の課題をクリアにしないと在宅は難しいことを退院前カンファレンスで知りました。
- 点滴管理
- 排泄介助
- 移動手段
- 入浴
- かかりつけ医の変更(緊急時の体制)
例えば、入院前は歩行器でトイレまで連れて行かなければならない手間はありましたが、おしっこも座ってしていましたし、ストーマ装具の便の処理も便器の前に立たせて直接落とせたので、父でもできていましたが寝姿勢になると対応できなかったです。
このように排泄介助1つにしても「要介護3」と「要介護5」では、生活するうえで必須の条件が全く異なり、場当たり的で出来るほど甘くはありません。
ご家族ができない介助は、介護サービスで対応するのが基本です。
客観的に状況を把握して判断するためにも、まずは在宅介護の可能性をケアマネジャーやソーシャルワーカーに相談してみましょう。
在宅で介護するための課題が、見えてくると思います。
おわりに
今回は、「在宅」か「施設」の選択についてでしたがいかがでしたか?
民間の施設は、有料老人ホーム、サ高住、グループホームなど高齢者向けの施設はさまざまな種類がありますが、公的施設と同じで料金と施設対応が焦点になるかと思います。
これだけは、実際に足を運んで家族が判断するしかないですね。
在宅の方は「要介護5」でも、介護体制と介護サービスを組み合わせて課題をクリアできれば可能です。
ただ、介護度にもよりますが当然家族が介護することになるので、介護負担は少なからず発生するものとして、それは覚悟しておいた方が良いかもしれませんね。
いずれにしても、ソーシャルワーカーやケアマネジャーなど第3者の意見を求めるようにしてください。