母が、支離滅裂なことを言い出して戸惑っています。
在宅医に診てもらうと、せん妄の症状に似ているとのこと。
違う人格が乗り移ったように、しゃべりまくる母の様子に在宅医も少し驚かれていました。
実は、はじめてせん妄に直面したとき、衝撃過ぎて精神的に参ってしまった経験があります。
あれから12年。
その後も、何度か経験していますがこればかりは慣れないものです(-_-;)
僕のように親のせん妄にあてられて、精神的に追い込まれた経験を持つ人も多いと思います。
親の言動での消耗を極力防ぐためにも、せん妄について知っておくことが大切です。
今回は、母の現状からせん妄についてまとめましたので参考にしてみてください。
目次
食事介助が困難に!現在の母の様子に困っています。
「よもぎ餅食べたいから、今すぐ持ってきてください」
「○○します」「○○してください」的な語尾が丁寧語に加え、子供が作文を読むようなしゃべり方をする母におかしいと思い始めたのが約3週間前。
最初は、何を言っているのかなと思っていたのですが、不自然な内容としゃべり方に違和感はありました。
ちなみに、僕は結婚していませんし子供もいません。
餅も、10年以上食べていないはずなので今さらです。
少し前に、餅を巡って父親と喧嘩をしていたので思い出したのでしょうか?
僕からすると、お前もか!という感じです。
餅は、のどが詰まるので無理だと答えると、食べさせないためのウソをついていると言って聞きません。
「薬は、飲まなくてもいいと先生が言っていました」
「ご飯は、好きなときに食べればいいと先生が言っていました」
頑として、口を開かない母。
いやいや、食前の薬飲まないと始まらないやん。
好きなときに食べると言われても、今しかないやん。
僕の心の声です(-_-;)
体重が29kgしかなのに、食べてくれなくてホトホト困っています。
せっかく作ったご飯が冷めていく・・・
それでなくても、食事介助は時間がかかって苦痛以外のなにものでもないのに、そんなに僕を困らせたいのかと言いたくもなります。
突然、様子が変わる言動と感情
元々、母の性格は内向的で少しネガティブ。
しかし、温厚で怒っている姿は思い返してもほとんど記憶がありません。
要介護になってからは、記憶を一部喪失しているためか、言葉もついてこない様子でしゃべりたがらず口数は少ないです。
それが意味不明のことをペラペラと話すようになり、否定する言葉をかけようものなら情緒不安定ぎみにすぐに怒ります。
「生命保険に入らないと、あなたは明日死にます」
「先生の許可をもらったので、今すぐ私を殺してください」
生命保険は、実は半年前に解約しましたが、母には理解できないことなので言っていません。
母の「死にたい病」は、今に始まったことではないのでまた始まったとは思っていたのですが・・・
先生とは、在宅医のことです。
何かにつけて、先生の許可があると言い出したのには参りました。
「お母ちゃん、どうしたんや、しっかりして!」なんて言葉をかけたときには
「しっかりしろって言うな!」と力を込めて怒ります。
「私の世話をするために会社やめたんだから、お前がしっかり世話をしろ!」
居合わせていた訪問看護師さんも、苦笑いされる始末です。
せん妄とは
せん妄とは、高齢者に多く発症する一種の意識精神障害のこと。
ちなみに、せん妄という用語は病名ではなく異常な精神状態を指すものだそうです。
僕が、よく参考にしているMSDマニュアル家庭版にはせん妄について下記のように記されています。
せん妄は、突然発生して変動する精神機能の障害で通常は回復可能です。注意力および思考力の低下、見当識障害、覚醒(意識)レベルの変動を特徴とします。
せん妄は高齢者に多くみられ、高齢者の家族が医師や病院に助けを求める際によくある理由です。高齢者の約15~50%は、入院中にせん妄を経験します。(MSDマニュアル家庭版)
せん妄の特徴は、突然なること、一過性であること。
認知症と判別しやすい点は、この2つです。
症状
せん妄の症状は、幻覚、錯乱、妄想、睡眠障害、見当識障害、情動、神経症状などです。
母も過去には、実際にはいない人との会話を僕に話したり、存在しない場所や物が見えているようなことも言っていました。
今回も、夜はまったく眠れないようですし、前述のように突拍子もないことを言ったりしています。
せん妄の期間は、高齢者は持続時間が長くなる傾向があり、重症度と原因に応じて数時間から数か月間続くこともあるとのこと。
母の場合だと、減薬による副作用のときは約1週間。
入院による環境の変化だと、2か月以上せん妄状態のときもありました。
実際には、浮き沈みの波があってずっとせん妄状態という訳ではありませんが、症状が時間とともに変化するのもせん妄の特徴です。
10分前はせん妄状態だったのに、今は正常な精神状態であることがよくあります。
せん妄の原因
せん妄に関する記述を調べましたが、明確な原因は解明されていないようです。
ただ、高齢者に限れば、少なくとも下記の4つの原因があるとされています。
加齢によるもの
高齢であるがゆえの虚弱な状態に、何らかの身体的、心理的な引き金因子が加わることで起こるとされています。
脱水、尿路感染症、便秘、インフルエンザ、睡眠不足、ストレス、チアミン・ビタミンB12欠乏症など。
若い人だと、特に問題がないような上記のような軽い病態からでもせん妄が発生することがあります。
疾患によるもの
電解質異常、甲状腺機能異常、肝不全、腎不全、髄膜炎、脳炎、尿路感染症、肺炎、認知症、パーキンソン病など。
入院によるもの
入院による環境の変化、心理的ストレスなどが睡眠妨害を介してせん妄の要因になることがあります。
薬の副作用によるもの
新しい薬が処方されたばかりのときには、それが原因である可能性が高いです。
また、長期間使用していた薬剤を急にやめることでせん妄が発生する場合があります。
母も、減薬の取組みをしていたときテグレトール錠という抗うつ薬を2錠から1錠に減らした際にせん妄になっています。
こうしてみると高齢者のせん妄は、環境の変化などの身体的ストレス、薬品に含まれる成分への反応、身内や友人の不幸などの心理的なストレスでもなると考えておいた方が良いでしょう。
せん妄の症状が出たときの対処と注意点
入院中に何度かせん妄を経験していますが、そのほとんどは退院すれば自然に治まるといった感じです。
理由は分かりませんが、住み慣れた環境に戻ることによって何らかのストレスが除かれるのだと思います。
ただ、せん妄の原因が病気や薬の副作用の場合は要注意です。
母は、低ナトリウム血症という病気で電解質異常からせん妄を経験していますが、このとき生死をさまよっています。
これが12年前のことです。
突然、自分自身や僕が誰であるかも分からなくなって、当てもなく歩き回るのですから衝撃すぎます。
異変から2日目の夜、会社から帰宅するとそこには右足に怪我をしている母がいました。
それも、皮膚がえぐれて皮膚移植をしたほどの大けがです。
それなのに、母は痛がりもせず相変わらず奇妙なことを言っている姿にヤバいと思い病院に連れて行っています。
このあと、すぐに昏睡状態になっているのであと1日病院に連れて行くのが遅れたら亡くなっていたかもしれません。
このように、せん妄は大きな病気の前触れのサインの可能性があるので、せん妄の症状が出たら速やかに医師に診てもらってください。
それと、親が怪我をしないように見守りすることも必要です。
おわりに
過去に経験したことや現在の母の様子から、せん妄の症状や注意点を紹介いたしましたがいかがでしたか?
今回は、血液検査の結果が甲状腺の数値が高いとのことで在宅医に対処していただいているところです。
しかし、高齢者はせん妄が認知症の徴候であることも多いようなので元に戻るか心配しています。
結局のところ、一旦、せん妄になってしまうと治まるのを待つしかないのが実情です。
せん妄は、ある日突然やってきます。
せん妄を理解して冷静な対応をするためにも、正しい知識を身につけて備えておきましょう。