母は、低ナトリウム血症という病気で生死をさまよって、昏睡状態から意識が戻ったときには後遺症が残っていました。
記憶の欠落もその1つです。
右腕の麻痺もあったので、脳神経にダメージがあったのだと思います。
このときを境に、母は要介護に。
そして、残された家族でお金や介護負担で揉めるというおきまりのパターンです。
もちろん、その日から我が家に安らぎは無くなりました(-_-;)
母の病気は、まれなのかもしれません。
しかし、突然亡くなったり、意思の疎通が取りにくくなってしまうことも十分に考えられます。
今回は、このような経験から親が元気なうちに話し合っておけば良かったと思うことをまとめましたので参考にしてみてください。
親の老後資金の確認
11年前、母が要介護になったとき半年ほど入院したのですが、このとき母の預金通帳を見て残高が少なすぎて焦りました。
他に通帳がないか探したくらいです。
父は、自分の年金の管理だけはしていましたが、家計はノータッチで知らんふりでしたし、とは言っても請求されたものは支払わなければなりません。
入院費や光熱費、それに固定資産税などの税金の支払い、いわゆる家計のやりくりのバトンが僕に回ってきてはじめて分かることもあります。
実は、僕も月々3万円しか家に入れてなかった親不孝ものです。
母の少ない年金だけでは、どう考えても家計を負担するのは無理があります。
そのうえ闘病生活の医療費もあったので、どのような思いで貯蓄を切り崩していたかを考えると本当に悪いことをしたと思っています。
長年、同居していてもこのありさまです。
離れて暮らしている人なら、なおさら分からないと思います。
蓋を開けてびっくり!というのも怖すぎます。
親の懐事情は、聞きづらくても必ず確認しておきましょう。
貴重品や親戚づきあいの把握
いきなり資産について尋ねたら、親の機嫌を損なうだけかもしれません。
まずは、貴重品や親の付き合いなど聞きやすいことかはじめてみませんか?
特に、預金通帳、健康保険、介護保険証、病院の診察券、年金手帳、印鑑類が見つからないと親が入院したときたちまち困ります。
その他にも、香典返しや法事のお返し、貰った引き出物の金額、出産祝い等々は必ず記録してもらって早めにチェックしておいた方が無難です。
あと、何かあったときに知らせなければならない親の友人・知人も連絡先をメモに残しておいてもらうと良いでしょう。
そして、いざというとき慌てないためにも大切な書類などの保管場所を決めておくことが大切です。
携帯やパソコンに引き継ぎしたいデーターを入れてある場合は、暗証番号も一緒の保管場所にメモを入れてもらうようにしてください。
資産管理の把握と対策
もし、親が突然亡くなったとして。
今どきは、ウエブ上の証券口座をスマホのアプリに入れている人も多いと思いますが、亡くなった方のスマホにロックがかかっていると、その状況が分かりづらいですよね。
僕も、働いていたとき、りそな銀行アプリで定期預金口座を作っていたので状況は同じです。
これだと、相続人がどこに口座があるのか分からず手の打ちようがありません。
口座状況を開示してもらうには、その口座番号を知っている必要はありませんが、せめてどこに口座があるのか、どの会社にあるのかくらいは把握しておきたいものです。
また、加入生命保険や貸金庫の有無も確認しておいた方が良いと思います。
把握はしていても預貯金が下ろせない問題
銀行は、名義人の死亡を把握した時点で口座を凍結するので、口座に入っている預貯金が下ろせなくなってしまいます。
貸金庫や定期預金もしかりです。
貸金庫の中身や定期預金も相続財産となるからですが、盲点なのが認知症でも資産がロックされてしまうので簡単には手元にお金が入らなくなってしまいます。
これによって、困ること。
施設に入れようにも口座からお金を取り出せない!
施設に入れるための頭金を、家を売って作ろうと思っても所有者が親なので売ることもできない事態に!
契約者である親だとすぐに引き出せるお金も、子が代理で解約するとなると委任状などが必要になるのでかなり困難な作業になります。
できれば、親が元気なうちにまとまったお金を銀行口座から下ろしてもらったり、貸金庫や定期預金は解約してもらって対策しておいた方が得策です。
相続問題について。特に生前贈与は早急に話し合っておく
どう切り出したら良いのか、親に相続に対して前向きになってもらうために頭を抱えておられる人もいると思います。
タイミングもあるかと思いますが、生前贈与に関しては国が相続税の課税強化を打ち出しているのでこの先無くなる可能性もあり時間がなさそうです。
生前贈与とは、110万円の範囲以内で毎年相続人に徐々に渡していくと非課税で済むというもの。
生前贈与で財産を減らして、相続時の相続税を節税することができるので有効な手段です。
その他にも、生前贈与に適用される控除や特例を使えば贈与税が大幅に節税できます。
反面、非常にルールが複雑で、生前贈与をしてから3年以内に贈与した方が亡くなった場合など、結局相続税かかかってしまうこともありますが使えなくなると元も子もありません。
生前に財産を分けておくことで、相続時のトラブルを未然に防げることもあるので生前贈与を検討されている方は急いだ方が良いでしょう。
ゆうちょ銀行のホームページに、生前贈与について分かりやすい記事がありましたのでリンクを貼っておきます。(生前贈与のメリットと進め方)
介護資金と誰が介護をするのか話し合っておく
施設はもちろん、在宅で介護をするにも資金は必要です。
我が家の場合だと、訪問看護や訪問入浴など利用しているので介護サービスだけで月々約18.000円の出費をしています。
確かに、施設に比べると桁が一桁違います。
これくらいだと、食費やおむつ代など諸々合わせても母親の年金で十分に賄える金額です。
しかし、その代わりに日々の世話が必要となり介護負担が大きくのしかかるってしまうのが実情です。
まあ、家族間で話し合わなければならないのは経済的負担と介護負担をどうするのかに尽きます。
こちらの問題も、必ず揉めそうなので先送りにしがちですよね(-_-;)
それでも直面すれば、誰かがしなければならないので親が元気なあいだにご家族で話し合っておきましょう。
自動車運転免許の返納は必須
どのご家庭にも、車が必要な理由はあるとは思います。
しかし、高齢者の引き起こす凄惨な事故が後を絶たない現状、親の運転免許の返納は片づけておきたい問題です。
うちの父親も、いつか事故を起こすのではないかと不安に思っていたので介護離職をしたあとすぐに免許返納の話をしています。
結局、勝手に廃車にして無理やり返納をさせましたが・・・
免許返納は、潮時が大切です。
うちの父親ではないですが、自分は大丈夫だと思い込んでいる人は、ご家族が動かない限りずるずる乗り続けると思います。
自主返納制度という、あくまでも個人の意思に委ねられている以上、親に運転をやめて欲しいご家族はひたすら説得するしかありません。
こちらの記事に、僕の涙ぐましい試みが記載されていますので参考に!
おわりに
MCI(軽度認知障害)という、認知症を早期に診断する仕組みがあるそうです。
MCIとは、本人や家族から認知機能の低下の訴えはあるものの、日常生活は問題なく送ることができている認知症の前の段階のことを言います。
おそらく、父親はこれに当てはまるのではないかと。
幸い、本格的な認知症とは違うので、まだ相続対策が可能です。
父親は、いまだに自分の年金を一切家に入れずに預貯金を囲っていますし、お墓の土地も問題があるのは分かっているのですが先送りになっています。
親の老後や相続の事は、一筋縄にはいかないことばかりです。
MCIの診断を受けておくことで、適切なタイミングでこれらの問題に取り組むきっかけにできるかもしれませんね。