母は、平成9年から26年までの約17年間、身体障害者手帳4級でしたが手帳を所持していただけで活用したことがありません。
僕も、鉄道やバスなど交通機関の割引があることぐらいは知っていましたが、母にとっては利用価値が低いものばかりだと認識していました。
我が家のように、身体障害者手帳4級ではたいしたメリットがないと思い、引き出しにしまったままになっている人もおられると思います。
今回の記事では、身体障害者手帳4級~6級でも活用できるメリットをまとめましたので参考にしてみてください。
目次
身体障害者手帳のメリットは地域格差があることを踏まえておこう!
意外に思われるかもしれませんが、身体障害者手帳の得られる支援内容は全国一律ではありません。
減免の対象となる手帳及び、障害の程度は各自治体によって異なります。
福祉サービスの提供は、国ではなく各自治体や民間企業だったりするのがその理由です。
民間だと、社会に貢献すべくおそらく義務感と親切で身体障害者を支援していただいているのだと思います。
なので、支援の対象となる障害の基準や割引率が、それぞれの企業で異なるのは何となく察しが付くのですが、問題なのは自治体の場合。
と言うのも、各自治体で障害福祉サービスの手厚さにかなり地域差が生じているからです。
財務状況の良し悪しが反映されているのでしょうが、やはり田舎になるほど厳しいのが現状のようです。
これから紹介する身体障害者手帳4~6級のメリットについても、このような理由でお住いの市区町村で違いがあるので予めご了承ください。
税金の優遇

身体障害者手帳4~6級でも、所得の控除など税負担を軽減することができます。
所得税と住民税の「障害者控除」
所得の控除と言えば、「配偶者控除」「扶養控除」あたりを思い浮かべる人も多いはず。
これらは、どれも所得税と住民税に適用される控除です。
税金のポイントは、何に対してかかっている税金なのか、誰が対象になっているのかを把握しておくと分かりやすいかと思います。
ちなみに、所得税と住民税は給与に対してかかる税金です、
所得税は、国に治める税金。
住民税は、各都道府県や各市町村などの地方自治体に納める税金です。
身体障害者手帳を所持している方は、「障害者控除」でこれらを減免することができます。
「障害者控除」とは、働いている本人または同じ家計で生活している配偶者や扶養親族に障害がある場合に課税の対象となる所得から控除される制度です。
控除額は、所得税は27万円、住民税は26万円。
申請方法は、会社員であれば年末調整か確定申告、個人事業主の場合は確定申告での申請です。
その他の税金の優遇
相続税の「障害者控除」
相続税の障害者控除とは、障害を抱える相続人が遺産を相続した場合に相続税が軽減される特例措置です。
身体障害者手帳4~6級だと、満85歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。
住民税の非課税
障害の等級に関わらず身体障害者手帳の交付を受けている方は、前年中の合計所得額が125万円以下の人は住民税が非課税となります。
給与年収の場合は、204万4,000円未満です。
少額貯蓄の利子等の非課税
いわゆるマル優と言われるものですが、貯蓄に対して限度額350万まで利子と預貯金の利息が非課税になります。
投資での国債や公社債も対象です。
自動車税の減免
自動車税の減免の対象は主に1~3級ですが、身体障害者手帳の交付を受けている障害の区分によっては4~6級でも対象になるものがあります。
障害者の税金の優遇は、本人や扶養する家族の税負担の軽減が目的ですが、納税者が自ら申請しない限り控除や減免が受けられないのが周知の事実です。
これら税金の優遇は、金額が決して少なくないものばかりなので必ず申請するようにしましょう!
医療費の助成
身体障害者手帳4~6級でも適用される医療費の助成は、公費負担医療制度のひとつである自立支援医療制度というもの。
一般に広く知られている心身障害者医療費助成は、残念ながら身体障害者手帳4~6級では対象にはなりません。
心身障害者医療費助成とは、通院や入院などにかかった医療費のうち、保険診療による自己負担相当分の一部または全額を市区町村が助成してくれる制度です。
対して、自立支援医療制度は指定の医療機関・薬局のみでしか利用できず、対象者と治療内容、助成額も限定されます。
自立支援医療の種類は、下記の3つです。
精神通院医療(精神疾患の治療)
更生医療(身体障害の治療など)
育成医療(身体障害がある子どもの治療)
詳しくは、リンクを貼っておきますので確認してください。(厚生労働省:自立支援医療制度の概要)
公共交通機関や公共施設の割引サービス

多くの交通機関と公共施設で、身体障害者手帳の等級に制限なく割引や免除が受けることができます。
鉄道・バス・タクシー・飛行機・フェリー・有料道路など、ほぼすべての移動手段に割引が適用されます。
また、美術館、博物館、その他にも動物園やテーマパークなどでも入場料が割引になります。
ポイントは、同伴者も同じように優遇されること。
例えば、JRや多くの私鉄で本人と介助する同伴者の運賃が半額になります。
公共施設も、同伴者の入場料が無料になる施設も多いです。
駐車場も、同伴者が運転する車でも駐車料金が無料になる場所もあります。
これらの割引サービスの多くは、係員のいる窓口で身体障害者手帳を提示するだけで受けられるので利用しやすいのも利点です。
公共料金の割引
毎月の支払う公共料金を見直すことができれば、出費を抑えることができるのでメリットは大きいです。
NHK放送受信料の免除
身体障害者手帳をお持ちの方がいる世帯で、かつ、世帯構成員全員が市町村民税(特別区民税含む)非課税の場合は全額免除されます。
携帯電話料金の障害者割引
携帯電話料金の障害者割引を実施しているのは、ドコモ・au・ソフトバンク。
いわゆる、3大キャリアと呼ばれているところです。
これらの障害者向けの割引サービスも、障害の等級に関係なく割引を受けることができます。
各社とも、通常プランと比べて基本料金が割安になることが共通点です。
あとは、通話料やSMS送信料などサービスが細かく決まっているので、ご利用中の各社窓口に問い合わせてください。
その他の携帯電話会社、楽天モバイルや格安SIMは障害者割引を実施していません。
元々、低料金設定なので通常料金でもこれらの会社の方が断然安いのがオチです。
補装具費の助成・日常生活用具の給付又は貸与
補装具費の助成は、車いす、補聴器、義肢、盲人安全杖、歩行器など、障害のある方の日常生活を容易にするために必要な補装具の購入・修理にかかる費用を軽減してくれます。
日常生活用具の給付又は貸与は、母のストーマ装具の購入に半年分の給付券51.600円分を支給していただいている制度です。
ストーマ装具以外のものもあるようなのですが、具体的な品目や給付上限額や対象とする障害の現症等の詳細についてはリンクを貼っておきますのでご確認ください。(厚生労働省:日常生活用具給付等事業の概要)
余談ですが、平成9年は日常生活用具給付制度の対象にストーマ装具は入っていなかったです。
平成18年から対象となったようなのですが、恥ずかしながら平成26年までそのことに気づかず約8年間実費負担しています。
こんなことはめずらしいのかもしれませんが、現在ご使用している装具が知らないあいだに給付対象になっているとも限りません。
こう言ったことは、直接知らせてくれないので定期的に居住する市区町村の障害福祉の窓口などで情報を取るようにしてください。
障害者の雇用と失業保険の優遇制度
障害のある人が、就労の機会を得るためのひとつの方法に障害者雇用枠があります。
障害者雇用枠とは、障害のある人が能力や適性に応じて就業できるようにするための採用枠のことです
障害者手帳をお持ちの方は、この採用枠に応募して就業することができます。
また、失業保険は受給できる期間が被保険者であった期間と年齢によって変わりますが、最低でも150日の受給が可能です。
障害者福祉サービス(ホームヘルパー・短期入所)
障害のある人が、地域で安心して暮らすために必要な訪問介護が受けられます。
ホームヘルパーの介助内容は、調理、掃除、買い物など家事援助など。
その他にも、食事や排泄、着替えや入浴の手伝いのような身体介助まで、障害の度合いによって身体障害者手帳4~6級でも受けられるサービスがあります。
サービスの利用をご希望される方は、お住まいの市区町村に申請して支給決定を受けていただくことが必要です。
市区町村の職員が、心身の状況や置かれている環境などを聞き取り調査し、障害支援区分の認定を行ったうえで支給決定が行われます。
また、家族に用事があるときなどは、施設に短期間泊まることも可能です。
住宅(県営・市営・UR賃貸住宅)の入居優遇
公営住宅に入居申し込みの際、優先入居に加えて家賃の減額のメリットがあります。
申込資格には、身体障害者手帳の等級や世帯の収入金額などの条件があるので、詳しくは各自治体の窓口にお問い合わせください。
おわりに
今回は、身体障害者手帳4~6級に絞って活用できるメリットをご紹介させていただきましたがいかがでしたか?
身体障害者手帳は、障害の程度によってどこがどのような支援してくれるかを把握することで使いやすくなると思います。
最後に、「身体障害者手帳」はメリットの組み合わせで親孝行のツールにもなります。
例えば、親に北陸の温泉旅行をプレゼントしたとして。
大阪発の特急サンダーバードの運賃(普通乗車券)が、障害者本人と付き添いの同伴者の2名分が半額になります。
また、兼六園や金沢城など行く先々で、本人と介護者1名が無料になる観光名所も多いです。
身体障害者手帳4~6級だと、日常生活にあまり支障がない方もおられると思うので、旅行もストレスなく楽しめるのではないかと。
僕の後悔は、身体障害者手帳のメリットに気づけなかったこともありますが、母親が元気なうちに親孝行してあげられなかったことも悔やまれます。
旅行は、計画を練っている時間も楽しいものです。
交通機関や公共施設など、割引の有無を事前に調べて上手に身体障害者手帳を活用しましょう!