平成28年4月からの医療制度変更で、紙のお薬手帳と同様に、電子お薬手帳(お薬手帳アプリ)が調剤薬局で利用できるようなっています。
先日、スギ薬局に、お薬を引き取りに行った際、電子お薬手帳を案内されました。
とりわけ便利に感じたのは、処方せんの送信機能です。
母の場合、種類も量も多いので往診で出してもらう処方せんを薬局に持って行っても、その場で薬が揃うことはありません。
そのため、今まではあらかじめ自宅からFAXしておいて、引き取り前に電話確認をしてから薬局に出向いていました。
電子お薬手帳は、処方せんを撮影して送信さえしておけば、準備完了しだい薬局から連絡が届くのでいちいち電話で確認しなくて済むので便利です。
また、お仕事をしている人なら、「仕事帰りに引き取りに行くのに、お薬手帳を持ち歩くのは面倒!」「待ち時間がイヤだ!」と思っている方は少なからずおられると思います。
そんな時は、電子お薬手帳の素晴らしい機能を活用してはいかかでしょうか?
目次
お薬手帳の重要性と電子お薬手帳
お薬手帳とは
お薬手帳は、あなたに処方されたお薬の名前や飲む量、回数などの記録を残すための手帳です。この回数がありますと、医師・歯科医師や薬剤師が、どのようなお薬をどのくらいの期間使っているのかが判断できます。
他の病院や医院などでお薬をもらうときにも、医師・歯科医師や薬剤師にお薬手帳を見せることで、同じお薬が重なっていないか、また飲み合わせなどについての確認も行ってもらえます。
スギ薬局お薬手帳より抜粋
お薬手帳の歴史は意外に浅く、1993年(平成5年)、日本国内の患者15人が、別々の病院から抗ウイルス剤と抗がん剤の処方を受け、併用服用して死亡した事件(ソリブジン薬害事件)をきっかけとして導入されました。
飲み合わせが悪く、重篤な副作用が発生したことによるとウィキペディアには記載されています。
お薬手帳は、薬の相互作用による健康被害から患者を守るために考案されたものと言う訳です。
相互作用とは、2種類以上のお薬を服薬したときに、個々のお薬では見られない作用が現れたり、それぞれのお薬の効き目が強くなったり弱くなったりするなどの変化が起こった場合、これらのお薬のあいだには「相互作用」があるといいます。
お薬手帳が急速に普及したのは、考案されてわずか2年後の1995年の阪神・淡路大震災後のようです。
震災時の特例として、お薬手帳があれば処方せんなしで薬を受け取ることができるケースや、災害における備えの意味でも認知されたのが要因でした。
また、電子お薬手帳誕生のきっかけも震災でした。
東日本大震災で、多くの被災者が服用中のお薬を必要としましたが、お薬手帳を持っていた患者さんにはすぐに処方できたのに対して、紛失された患者さんにはお薬の特定が困難を極めたようです。
避難時でも多くの方が持ち出していたスマホに、薬の情報を入れておけば安心だと思うことは、むしろ必然だったのかもしれません。
お薬手帳のメリットと電子お薬手帳の3つの特徴

お薬手帳のメリットは、
○現在、過去に飲んでいるお薬がすぐに分かる。
○旅行や災害、意識をなくすような緊急時、自分に替わってお薬の情報を伝える。
○医師や薬剤師にお薬手帳を提示することで、お薬の重複や飲み合わせを未然に防ぐことができる。
○アレルギー歴や副作用歴の情報を伝える。
電子お薬手帳は、お薬手帳のメリットをそのまま引き継ぐのでメリットは大きいです。
そのうえで、電子お薬手帳の大きな特徴は3つあります。
- スマホになので携帯しやすい。
- 処方せんをスマホで撮影して送信、待ち時間の短縮。
- 家族の手帳管理もできる。
時間が経つほど増えていく、お薬の情報。
母のお薬手帳は、薬の種類が多いので、一年かからずいっぱいです。
シールをその都度貼っていくので、その姿もどんどん分厚くなってハンバーガーのようになってしまいます。
その点、電子お薬手帳なら長期の履歴をためておくことが簡単となり、お薬の履歴をすべてまとめることも可能になります。
出張先や旅行先で、お薬手帳が必要になったときでも、大切なお薬の情報をスマホに取り込んでおくことで、服用中のお薬の情報を正確に知ることができ万一の時も安心です。
自身のお薬の情報はもちろん、家族全員の情報を一台のスマホでまとめて管理できるのもメリットです。
また、お薬手帳に保存されたお薬の情報は自動的に、サーバーに保管されるのでスマホの故障時や機種変更の際にもサーバーからお薬の情報を読み込むことができるので安心です。
一方、医療・健康に係るだけに、情報漏えいは気になるところです。
サーバー等から個人情報が流出しないよう、セキュリティの安全確保のあり方について十分に対処して欲しいところです。
電子お薬手帳の互換性
スマホを利用することにより、携帯しやすくなったとしても、特定の薬局でしか使えないお薬手帳では困りますよね。
現在は、電子お薬手帳は様々なタイプがありますが、それぞれに互換性があります。
日本薬剤師会が、電子お薬手帳相互閲覧サービス 「e薬Link(イークスリンク)」を提供して異なる電子お薬手帳アプリの内容を相互に閲覧することを可能にしています。
2016年4月の診療報酬改定とともに提供を開始した「e薬Link」ですが、2017年2月の時点で20組織が提供する24種類の電子お薬手帳が、一年足らずで、現在は30組織、41種類に大幅に増えています。 (「e薬Link」に対応している電子お薬手帳一覧)
お薬の記録を持ち歩いていれば緊急時も安心/まとめ

たまたまこの記事を書いているときに、大阪で震度6弱M6.1の地震がありました。
地震のあった午前8時前は、母の朝食を食べさせ終えた頃で、9時半に訪問看護師が来るまでの一時間半、いつもはパソコンに向かっているか、掃除をしています。
僕が住む地域は、震度5の報道があった場所だったのですが、かなり強い揺れを感じました。
二階から母のもとにすぐに行きましたが、僕だけ自宅の外に出るわけにもいかず、揺れが止むのを待つしかありませんでした。
いよいよダメなら、母を担いで出ていたと思います。
今回の地震でも水道、ガス、鉄道などライフラインに大きな影響が出ています。
もし、医療インフラに被害が及べば、母は持病があるのでかなり厳しくなると思います。
しかし、そのような事は分かっていても、こんなとき、お薬手帳を持ち出すことなど微塵も頭をよぎりませんでした。
その点、電子お薬手帳で記録をスマホで持ち歩いていれば、緊急時も安心です。
いざという時のためにも、お薬手帳の重要性を知っていただいた上で、電子お薬手帳の活用をお勧めします。