いつまで続くのか分からないのが、親の介護。
僕も、在宅介護を始めて10年が経とうとしています。
結局、3年前に介護離職をしてしまいましたが、振り返るともっと上手に立ち回れたのではないかと反省点も多いです。
今回は、失敗の経験から仕事をしながら在宅介護を長く継続させるポイントをまとめましたので参考にしてみてください。
目次
最初に!在宅介護の負担を認識する
在宅介護で直面するのは、肉体面・時間面・精神面の3つの負担です。
これら3つの負担は、本質において1つのものであるため、負担を軽減するためには分けて考えると把握しやすくなるかと思います。
肉体的負担
介護は、労働という側面もあります。
在宅での介助は、食事、排泄、移乗、入浴、着脱介助等々、その他にも介護食を作ったり、掃除、洗濯など、いわゆる家事もしなければなりません。
家事+介護=重労働という方式が成り立つと認識しておいた方が良いでしょう。
時間の負担
仕事と介護の両立は、時間のやり繰りが大変。
特に、母が入院してしまうと入院中のサポートと自分の生活が二重になってしまうので、週末さえも時間が取れず週1のプールにさえ行けなかったです。
自分の時間は、寝るときだけだとよく思ったものです。
精神的負担
母は、要介護になる前と後では性格が変わってしまった感があります。
元々は、生真面目でどちらかと言えばネガティブ思考。
しかし、温厚で怒った姿はほとんど記憶がありません。
それが、怒りやすくなって「死にたい」と二言目には言うので、これを聞かされ続けると息が詰まりそうで精神的にキツイです。
介護をされている方の中には、親の言動や行動で大きなストレスを感じている人も多いと思います。
これらからくる介護負担でのダメージは、気づきにくい、回復しづらい、蓄積していくばかり、と認識して取り組むことが在宅介護を長く継続させる一歩です。
人の助けを得ながら包括的に在宅介護に取り組む考えを持つ
僕の反省は、人の手を借りて負担を軽減するという考え方になかなか至らなかったこと。
在宅介護の継続を優先するなら、いかに負担を減らして体力を温存できるかにかかっているのに、親の介護は1人で抱え込んでしまいがちです。
僕も、家庭の事を他人に話すことや託すことに抵抗があったせいか、自分で介護をしすぎていた感があります。
在宅介護は、選択肢の無くなるゲームをしているようなものです。
介護負担は、月日の経過に比例して増していくのに、抱え込む一方だといつかはパンクしてしまいます。
振り返ると、在宅介護をはじめて3年ほどで消耗しきって後々まで響いてしまいました。
気づいたときには、後の祭りです。
無理をすればその反動は必ずきますし、体を壊してしまえば元も子もありません。
それに、1人の力ではたいして状況を変えられないのも介護の特徴です。
感覚としては、人の手助けを上手に得られる人ほど上手くいくと思います。
「人に頼ること」を決めて、新たな負担に対応する枠を作っていくことが大切です。
仕事と介護の両立の継続を考えるとき、「自分でやらない」「人に任せる」判断も重要なポイントだと言えるでしょう。
介護サービスを最大限に活用して負担を分散する
介護保険制度の役割は、何も利用者本人のサポートだけではありません。
ご家庭の介護負担を、軽減する役割も担っています。
なので、ケアマネジャーに相談すれば、働く時間を確保できるようにケアプランを作成してもらうことも可能です。
ポイントは、お金を支払って介護負担を軽減する思考。
多少の出費をしても、働きながらできるだけ長く在宅介護を継続する方が金銭面のダメージが少なくて済むという考え方です。
僕の残念だった点は、利用限度額をオーバーしてでも負担を減らすという発想ができなかったこと。
特に、ストーマ装具の便漏れ時の対応と入浴介助にはかなり消耗させられたので介護サービスにお願いすべきだったと思っています。
便漏れする度、会社を早退しては仕事にも支障がでていましたし、要介護3の入浴介助も本当に大変でした。
介護度に合ったケアプランも大事ですが、支える家族あっての在宅介護です。
親の介護度の変化以外にも、家族の都合の変化にもケアプランを反映させるべきだと思います。
そのためには、本人だけでなく、家族の状態も把握してもらえるよう、常にケアマネジャーに相談することを心がけてください。
まずは、利用限度額の枠内で、どの負担を減らせば助かるか優先順位を付けて定期的に整理してみましょう。
職場に相談をして仕事の負担を軽減する
僕は、これまで築いたキャリアと給与に執着してしまって働ける寿命を縮めてしまった苦い経験をしています。
異動を申し出ずに、営業職に甘んじてしまったのがそもそもの間違いです。
一般的に、介護の悩みを持つ世代は中間管理職の真っただ中。
上からも下からも圧迫されて、仕事の負担も増すばかりです。
仕事だけでも精一杯なのに、少し考えれば分かるようなものですが当時の僕はどうにかしていたのでしょうか(-_-;)
頭では理解できていたのですが、やはり仕事も介護を甘く考えていたのだと思います。
仕事と介護の両立は、時間のやり繰りだけでも大変です。
たとえ休暇制度を利用しても、それでは賄えないこともあります。
そんなときは、出世はあきらめて長く働けるように舵を切ることも必要だと思います。
仕事の負担を減らしてもらうには、それなりの代償は覚悟しなければなりませんが介護離職するよりはマシです。
どちらにせよ、会社の協力なくして仕事の両立は成り立ちません。
速やかに、状況を報告して理解を求めるようにしてください。
「かかりつけ医」を作っておく
在宅介護を長く続けるためには、親の体調や身体能力を維持することが重要になります。
そのためには、病気の早期発見、早目の処置は必要不可欠です。
「かかりつけ医」を持っていると、緊急時や専門的な治療が必要と判断されるときにもスムーズに適切な医療機関につなげてくれます。
また、要介護認定を申請する際に必要な「主治医の意見書」など申請に必要な診断書も依頼もできます。
このように「かかりつけ医」のメリットは多岐に渡りますが、医師の良し悪しはやはりあるのでよく調べて探すようにしてください。
我が家は、「かかりつけ医」を替える転機があって、これを境にビフォーアフターのレベルで生活がしやすくなった経験をしています。
以前の在宅医は一方通行でしたが、今の在宅医はフラットな視線で接してくださいますし、こちらの意向もくみ取ってくださるので本当にありがたいです。
それに、病気や症状に関する全般的な知識を備える努力をされているので、専門分野にかかわらず相談できるのも以前の在宅医とは異なります。
このような医師に、親の健康問題について相談できることはそれだけで安心ですね。
今は必要なくても、必要になったときに困るのが「かかりつけ医」です。
慌てないためにも、たまたま行った病院で感じが良さそうなら「かかりつけ医」になってもらえないか相談するなど普段からアンテナを張っておくと良いでしょう。
経済的負担を軽減できる制度や行政サービスを活用する
我が家のように、長期介護をされている方の多くは費用面の不安を抱える人も多いはず。
僕も、貯蓄を切り崩して生活しているので将来的にかなり不安です。
在宅介護を継続するためにも、ご家族の経済的負担を軽減できる制度や行政サービスについてチェックして活用することをおすすめします。
ちなみに、母が利用させていただいている制度は4つあります。
- 身体障害者手帳
- 特別障害者手当
- おむつの支給制度
- ストーマ装具給付制度
身体障害者手帳1級で、母の医療費はほぼ無料です。
特別障害者手当で、月々約27.000円を受給しています。
おむつの支給制度については、自治体によって支給される対象者や額が異なるのですが、我が家は約3.000円分の紙おむつの現物支給です。
ストーマ装具給付制度は、半年で51.600円分を給付券で支給していただいています。
これらの補助のおかげで、母の少ない年金だけでも在宅介護でかかる費用は賄えています。
我が家には当てはまらないのですが、「高額介護(介護予防)サービス費」や「高額医療・高額介護合算制度」という制度もあります。
その他にもあるとは思うのですが、実は僕自身も把握しきれていません。
如何せん、日本の助成制度は知っていて申請しなければその恩恵にあずかることができないものばかりです
申請自体は簡単な手続きですが、そもそも制度の知識がなければ申請しようがないのが実情です。
高齢者だとなかなか調べ切れるものではないので、ご家族がサポートして手続きまでしてあげてください。
おわりに
働きながら在宅介護を続けるためのポイントを、6つご紹介させていただきましたがいかがでしたか?
何事もそうかもしれませんが、物事は成り行きや気合いでは長続きはしません。
仕事と在宅介護の両立も、綿密な計画性と強い意志が必要だと思います。
このどちらも欠けていた僕は、不眠症から崩れてしまいました。
精神面でも参っていましたし、以前は滅多にひかなかった風邪もしょっちゅうひいていたので体力面でもかなり弱っていたのだと思います。
強い肉体に強い精神が宿るではないですが、自身のストレス発散や体力づくりに目を向けず心と体のメンテナンスを怠ったことも失敗の原因かもしれませんね。