入浴は、特に日本人にとっては生活するうえで欠かすことができない日常生活の一部です。
それは、在宅で療養をされている方にとっても同じだと思います。
清潔の保持、温浴効果、その他にも体を動かすのでリハビリ効果や気分転換にもなるので、生活のリズムを整えるうえでも重要な役割を果たします。
今回は、僕が母の入浴介助を5年ほどした経験から解説しますので参考にしてみてください。
目次
入浴事故を防ぐ7つの注意点や対策
体を温めることによって免疫力が上がり、抗ウイルス作用が発動される入浴効果。
一見、良いことばかりのように思えますが、その見返りに入浴事故のリスクが付きまとうのが高齢者の入浴です。
下記の7つの項目は、致命傷なりかねない可能性が高いので命を守る対策を講じておいた方が良いでしょう。
- ヒートショック
- 脱水症状
- 空腹時や食事直後の危険性
- 高血圧症、心筋梗塞、脳血管症などの対策
- 転倒防止
- 入浴中の「おぼれ」
- 高温浴、長風呂の危険性
ヒートショック
急な温度変化で血圧が大きく変動し、ショック症状を引き起こすヒートショック。
特に、冬場はヒートショックを起こしやすいので浴室や脱衣場をあらかじめ暖めて他の部屋との温度差がないようにすることが大切です。
対策としては、暖房器具などで入浴前に浴室や脱衣場を暖めておくと良いでしょう。
僕は、小さめのセラミックファンヒーターで脱衣場や浴室を暖めていました。
持ち運びができるので、重宝します。
脱水症状
高齢者は、脱水症になりやすいと認識しておいた方が良いと思います。
原因のひとつは、加齢によって筋力が低下し、水分を蓄える筋肉量が減っているからだそうです。
それでなくても、入浴すると汗をかき体の水分が奪われるので、入浴前、入浴後は水分をしっかり採って脱水症状にならないよう備えてください。
空腹時や食事直後の危険性
空腹時の入浴は、水分不足や血糖値の低下を引き起こし、めまいや貧血などの体調不良の恐れがあります。
また、食後に血圧が下がる食後低血圧により失神しやすくなる場合があるので、食後すぐの入浴も避けましょう。
高血圧症、心筋梗塞、脳血管症など
高齢者に限ったことではありませんが、入浴は急激な温度変化で血液の循環に大きな影響を与えます。
特に、高齢者は身体への負担が大きく血圧の変化には注意が必要です。
これらの症状を未然に防ぐためにも、入浴前にバイタルチェックをして親の状態を把握してください。
バイタルサインが芳しくなかったり、親の表情や様子などから調子が悪そうなら清拭(せいしき)に変更したり見合す選択も必要です。
転倒防止
ただでさえ転びやすい浴室。
入浴後は、立ちくらみや血圧の変動でふらつくことが予想されます。
濡れた足で床の上で滑らないように、全身を素早く拭いたあと足の裏もしっかり拭きましょう。
必要に応じて、滑り止めマットや手すりを取り付けておくと安心です。
また、椅子を用意するなどして楽な姿勢で着替えをするようにしてください。
シャワーチェアがあると、座って作業できるので便利です。
入浴後、脱衣場に移動させてこのチェアで着替えもさせていました。
入浴中の「おぼれ」
入浴事故で、意外に多いのが高齢者の溺れる事故。
令和元年中に東京都では、高齢者が溺れる事故で520人救急搬送されたそうです。
しかも、そのほとんどは冬場の浴槽で発生。
その9割が、生命の危険がある重症以上とのことで気を付けなければなりません。
原因は、入浴中に体調が悪くなって頭が自然と前方に傾いて湯船に顔を浸けた状態になって溺れるようです。
親が入浴中は、お声がけをして細心の注意を払いましょう。
東京消防庁、ホームページのリンクを貼っておきますのでご覧ください(東京都福祉保健局)
高温浴、長風呂の危険性
42℃以上の高温浴がもたらすものが、脳梗塞と心筋梗塞。
それに、のぼせて意識がなくなり溺死することも少なくないようです。
一見、熱いお湯は体に良さそうですが、これらの症状で毎年1万5千人もの人が亡くなっているというのですから驚きます。(日本健康開発財団HPより)
加えて、長風呂はたくさん汗が出るので脱水症になる可能性もあります。
ちなみに、高齢者のお湯の温度は高くても40℃まで。
お湯に浸かる時間は、約5分とされています。
身体に負担をかけずに、短時間で効率的に温まりたい人は入浴剤を試してみてください。
我が家は、訪問入浴の際にこちらの入浴剤を使用していますが、短時間でも十分温まるので冬場は重宝します。
入浴のリスクを軽減するために気をつけたいこと
これらから言えること。
高齢者の入浴で注意するべきは、身体の温度変化での血圧の上昇です。
熱いお湯に浸かったとき、温まった部屋から寒い脱衣場に移動した直後は急激に体の温度が変化して血圧が上がってしまいます。
体に負担をかけないためにも、入浴する際は、かけ湯で少しずつ体を温めてから入浴するなど、できるだけ温度差を生じさせないように心がけましょう。
母が自宅で入浴していた最後の方は、お湯から出る際、立ち上がりにも苦労していたので浴槽に椅子を沈めて半身浴させていましたが、肩まで浸かるより安全に入浴させられるのでおすすめです。
最後に!入浴介助は、それなりの知識とスキルがないと危険です
在宅で、入浴介助をするにあたって最後に伝えたいこと。
親の身体動作の低下や、入浴介助に限界を感じたら早めに訪問看護やデイサービス、訪問入浴など入浴させてくれる介護サービスにシフトすることをおすすします。
我が家は、7年前に見守り程度から始めた母の入浴介助も、3年経つ頃には足元がおぼつかなくなり歩行器が必要な状態に。
最後の方は、補助用具を使っても浴槽から自力で出ることができなくなっていたので、僕が抱きかかえて浴槽から出していましたが、今思うと明らかに素人がする域を超えています。
やはり、危険です!
幸い、入浴介助中の事故はありませんでしたが、入浴が終わる頃には気疲れと体力的にもゲッソリでした。
母親にも、お風呂に入ることでより疲れさせ、怖い思いと頑張らせてしまって悪いことをしたと思っています。
無知は罪。
アホな息子で( TДT)ゴメンヨー