この4月から、「紙おむつの支給事業」が改悪された自治体もあるのではないでしょうか?
我が家も、紙おむつ支給の変更通知が3/23に届いたのですが、同封書類の提出期限が3/29までとなっていて唐突過ぎて驚いています。
通知文書には、次月からの支給対象者の変更、上限額の引き下げ、令和6年3月31日で制度終了との文言がありました。
紙おむつの給付を検討されている方や、すでに給付を受けている方も近い将来給付内容が変更されるかもしれないので参考にしてみてください。
「紙おむつの支給事業」の支給要件の変更通知の内容
この記事を書くきっかけとなった自治体からの通知。
この先、紙おむつの支給が廃止されるニュアンスの内容が含まれていましたので気になって調べました。
介護保険制度の地域支援事業の一環として実施してまいりましたが、このたび国の制度改正(令和6年3月31日で制度終了)により、令和3年度から本事業の支給要件が変更となります。」
「紙おむつの支給事業」の縮小を知らせるものですが、理由は国の制度改正という一言だけ。
一見、それらしい内容ですが、国がどのような制度改正をして縮小に至ったのか、上記の文面から読み取れる利用者は少ないと思います。
まあ、財源がひっ迫している現状、カットされるのは理解できますが、もう少し丁寧に説明していただかないと肝心なことが分からないです。
しかも、令和6年3月31日で制度終了とあるではありませんか!?
この通知を見て、不安を抱いた利用者は僕だけではないと思います。
実は、「紙おむつの支給事業」は各市町村で独自に行っている事業
「紙おむつの支給事業」は、在宅で紙おむつを使用している高齢者を対象に紙おむつを支給する事業です。
その目的は、高齢者を介護している家族の身体的、精神的、経済的負担の軽減を図ることにあり在宅介護を支える大切な仕組みとなっています。
地域支援事業の任意事業について
まず、役所からの通知にあった介護保険制度の地域支援事業とはどのようなものか、よく分からなかったので厚生労働省資料を参考に解説します。
「介護保険制度の地域支援事業の一環として実施してまいりましたが、このたび国の制度改正(令和6年3月31日で制度終了)により、令和3年度から本事業の支給要件が変更となります。」
介護保険制度は、40歳から保険料を支払って介護が必要になれば介護サービスを利用するあの介護保険のことです。
地域支援事業とは、2005年の介護保険法の改正を受けて翌2006年に創設された介護保険の介護予防事業のことをいいます。
地域支援事業は、市町村で行うもので、介護給付・予防給付とは別に、被保険者(介護保険)が要介護状態になることを予防(介護予防)し、たとえ要介護状態等になった場合も住み慣れた地域でできるだけ自立した生活が送れるように実施するものです。
地域支援事業は次の3つの事業からなります。
これらを踏まえて、紙おむつの支給事業は地域支援事業の任意事業にあたります。
要するに、国がいくらか補助するので各自治体で紙おむつの支給の運営をしてくださいということですね。
対象者・支給金額は住んでいる自治体で異なる
前述のようのに「紙おむつの支給事業」は、市町村の独自事業です。
なので、対象者の条件や支給金額は全国一律ではなく地域によって異なります。
下記は、僕の住んでいる自治体の支給要件です。
その他の自治体は?
「紙おむつの支給事業とは」のワード検索で、他の自治体を調べてみました。
対象者:基本要介護4以上
上限5.500円
2番目は、東京都の稲城市
対象者:常時おむつを必要な状態の要介護1~5の方、または身体障害者手帳をお持ちの方
上限:5.000円
3番目、東大阪市
対象者:要介護3以上
上限:4.000円
4番目、兵庫県神戸市
対象者:要介護4以上
上限:8.333円
対象者の条件は、原則65歳以上の在宅の方。
高齢者を入居対象とした施設(有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス、グループホーム等)は対象外の自治体がほとんどです。
課税条件は、同居者全員(世帯分離も含む)が非課税という厳しいところもあれば所得要件なしの寛容な自治体もありさまざま。
中には、紙おむつを利用している本人が入院している間、現金給付で助成してくれる手厚い補助をしてくれる自治体もあります。
支給方法については、上限額の範囲内で紙おむつカタログから選択し、限度額を超える分については利用者が負担する形をとる自治体が多いようですね。
支給額は、奈良県は上限が3.000円~3.500円の市町村が多いですが、同じ日本に住んでいるのにこんなに地域格差があることに驚きます。
このように市町村で支給要件がかなり異なりますので、利用を検討している方は事前にお住いの福祉課にお問い合わせください。
「紙おむつの支給事業」今後は廃止?
やはり気になるのが、文面にあった令和6年3月31日で制度終了の文字。
「紙おむつの支給事業」に関する国の制度改正とは、国の動向とこれまでの経緯がどのような内容だったのかを調べました。
結論から、「紙おむつの支給事業」が地域支援事業の任意事業から外された経過です。
- 2015年、国は市町村の地域支援事業の任意事業として提供されてきたおむつなどの介護用品の支給を、任意事業の対象から外すことを決定。(14年度時点でおむつ支給を実施していた市町村に限り、15年以降も当面の間は任意事業での継続を認める。)
- 2020年11月、翌21年3月のこの経過期間終了前に激変緩和措置として2024年3月末まで延長することを市町村に事務連絡する。
余程、財源が厳しいのか、国が紙おむつの支給をカットしたいのが見て取れます。
ポイントは、やはり「紙おむつの支給事業」の財源です。
現在の財源は、国38.5%、都道府県19.25%、市町村19.25%、第1号被保険者の保険料23%で税と保険料で賄われていますが、24年4月からは「市町村特別給付」や「保健福祉事業」または市町村独自事業となり財源が変わります。
聞きなれない制度や事業名が並びますが、2024年3月末に国からの補助は無くすのであとは各自治体でお願いします。
ぶっちゃけ、そんなところです。
これらの経緯を見る限り、財力のある自治体であれば継続の可能性もあるかもしれませんが、方向性としては縮小・廃止へ向かっているとみるべきでしょう。
おわりに
今回は、「紙おむつの支給事業」の継続の是非についてでしたがいかがでしたか?
残念ながら、今回調べた限りは紙おむつの支給はあと3年の猶予といったところです。
国は、出費を抑えるために施設から在宅に誘導しているにもかかわらず、在宅で介護をする補助さえもカットしようとしている現状に矛盾を感じてしまいます。
財源ありきなので、その他の補助もこれから縮小・廃止の流れが加速しそうです。
最後に、僕の住んでいる自治体に一言。
3月末に通知して4月から縮小の変更するなんて、ちょっと利用者への扱いが雑すぎませんか!?
かなり以前から分かっていたことだけに、せめてもう少し前もって通知して欲しいものです。
ぺらんぺらんのコピー用紙1枚に、分かりづらい内容で郵送して制度の改悪が完了するのですから文句の一つも言いたくなります。
こんなやり方は、一般社会では通用しません(# ゚Д゚)
地域支援事業交付金について(地域支援事業の全体像等)
1.平成30年度以降の激変的緩和措置の取扱い(平成30年3⽉6⽇担当課⻑会議資料p368)
2.介護用品の⽀給に関する取扱(平成31年3⽉19⽇担当課⻑会議資料p450)

[対象者/支給金額]
要介護4以上、または介護認定調査票で必要性のある方
本人非課税の方(課税世帯であっても本人が非課税であれば対象)
上限:3.000円
[支給方法]
入札により決定した市指定の事業者が、2か月に1回要介護者宅まで配送。