介護保険と医療保険、何がどう違うの!?どちらが優先されるか知っていれば大きなメリットが得れることも

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母の要介護が、3→2に1つ下がったことがあります。

それに伴って、介護保険限度額も約27万円→約20万に減額され、すでに24万円ほど利用していた母の介護サービス利用料は限度額の枠を4万円ほど超えてしまいました。

幸い、ケアマネジャーが超過分を医療保険に切り替えて事なきを得ています。

「なぜ、そんなことができたのだろう!?」

当時、不思議に思ったのがこの記事を書くきっかけです。

その後、ケアマネジャーに確認したり、自分でも調べて知識を深めるうちに「介護保険」と「医療保険」を上手く使い分ければ、在宅介護に必要な月々の費用を節約できる可能性があることを知りました。

今回は、在宅介護を継続するうえで必ず必要になる2つの保険の仕組みを解説したいと思いますので参考にしてみてください。

 

まず「介護保険」と「医療保険」の違いを把握しておこう!

「介護保険」と「医療保険」、どちらも在宅介護に必要不可欠な保険です。

一見、混同しやすい2つの保険制度ですが適用される対象者や条件が全く異なりますので知っておいた方が良いと思います。

保険の種類

 介護保険

 医療保険

保障対象者

 原則65歳以上(一部40歳以上)

 0歳以上

保障の発生条件

 介護施設の利用・訪問介護               

 病院で治療を受ける際

認定の必要性

 必要あり

 必要なし

自己負担額

 原則1割、もしくは2~3割

 ※

保障の上限

 上限あり(上記介護保険限度額)

 上限なし

※医療保険の自己負担額
70歳未満は3割
75歳以上1割(現役並み所得は3割)
70歳から74歳まで2割(現役並み所得は3割)

 

医療保険とは?

医療保険は、病院にかかる際の医療費負担を軽減してくれる健康保険のことです。

特徴は、きちんと健康保険に加入さえしていれば、誰でも保障の上限を気にすることなく、原則3割負担で治療が受けられます。

たとえ大病を患って高額な手術や入院を余儀なくされても、大抵の場合、1ヶ月の自己負担額を約8~9万円までに抑えることができる高額医療制度を備えている手厚い保険です。

国家の責務は、国民の生命と財産を守ることですが、日本の医療保険はまさしく国家の根幹を支えている制度の1つだと言えます。

サラリーマンの時は、給料明細を見るたび高額な健康保険料にため息が出たものですが、こうして調べてみるとなるほど納得、致し方ありませんね。

 

介護保険とは?

「もし介護保険制度がなかったら!?」

介護保険制度の必要性を考えるとき、料金面でこの制度がなかったらどうなるのかを想像すれば分かりやすいと思います。

例えば、現在の我が家の介護保険利用料です。

訪問介護 (週3回)       8.000円

訪問リハビリ(週1回)           2.000円

訪問入浴(週1回)           5.600円

介護レンタル            3.000円

支払い合計18.600円(1割負担) 

  ※2020年6月現在

 

介護保険制度が作られたのが、2000年なので約20年前のこと。

それ以前だと、これらのサービスは全額実費負担で186.000円になります。

普通のサラリーマンなら、たちまち生活が困窮してしまう金額ですね。

そもそも一昔前は、国から介護事業所への補助の枠組みも無かったので介護サービスの種類や件数も現在のように多くは無かったと思います。

昔は、これらのサポートが無い環境で、親の介護を各ご家庭でしていたというのですから本当に頭が下がる思いです。

 

国の方針としては、核家族の増加で昔のように各ご家庭で親の介護ができない現実もあるので、働く環境の改善や家族への支援を行うことを目的に介護保険制度が作られました。

まあ、言い換えると、個人で親の介護をするのが難しくなったので基金を作ってみんなで支え合う仕組みを作ったという訳です。

 

「介護保険」「医療保険」の使い方次第でメリットが出せるケース

この2つの異なる保険制度ですが、使い方次第でメリットを出せるケースが2つ考えられます。

介護保険利用額がオーバーしてしまったとき。

身体障害者手帳1・2級を取得している方。

 

1つ目の介護保険利用料オーバーに関しては、通常、オーバー分は10割実費負担しなければなりません。

オーバー分を、いくらかでも医療保険に適用することができれば、それだけ費用の負担を軽減できることになります。

 

2つ目は、重度の障害者が対象です。

医療保険は、重度障害者医療費助成制度で医療費の助成があります。

介護保険だと1~3割支払わなければなりませんが、医療保険が適用されると支払いのほとんどが戻ってくるので出費を抑えることができます。

闘病生活をしている我が家にとっては「医療費の助成」これだけで相当な恩恵です。

ただ、このメリットを得るためには「身体障害者手帳1・2級」の取得と「医療費の助成」のことを知って手続きする必要があります。

現在、身体障害者手帳3級・4級であっても、年月の経過による身体の状態の変化や2つ以上の障害で再申請すれば等級が繰り上がるかもしれません。

 

在宅介護のサービスの種類と適用される保険

下記表は、我が家が利用している在宅サービスが「介護保険」「医療保険」どちらの保険が適用されているかを記しています。

 

介護保険

医療保険

訪問看護  

訪問リハビリテーション

訪問入浴

介護レンタル

介護タクシー

訪問診療

〇(居宅療養管理指導)

往診

〇(居宅療養管理指導)

 

我が家は利用したことがありませんが、訪問介護(ホームヘルプ)やデイサービス、デイケア、ショートステイなど、在宅介護で利用するサービスのほとんどは介護保険が適用されます。

ちなみに、医師が訪問して行う療養上の管理や指導は「居宅療養管理指導」と言って介護保険適用です。

医師による治療や処置を行う「訪問診療」や「往診」とは、同じ在宅医療でも利用する保険が異なります。

「居宅療養管理指導」については、こちらの記事に詳細を記載していますのでご確認ください。

 

「介護保険」と「医療保険」どちらが優先?2つの保険の併用は?

要介護認定を受けている方は、介護保険が優先されます。

反対に、要介護認定されていない方は医療保険が優先です。

うちの場合だと、78歳の母親は介護保険認定者なので介護保険が優先されますが、父親は母親よりも6つ年上ですが介護保険を持っていないので必然的に医療保険が適用されます。

ただ医療保険では、ほとんどの介護サービスの利用は不可です。

 

2つの保険の併用について

要介護認定者は、介護保険が優先されるので基本的には2つの保険を同時に利用することは出来ません。

例えば、介護保険で訪問リハビリテーションを利用している母は、治療目的の病院が行うリハビリであっても同じ診断名であれば同時に利用することは不可です。

 

また、同日に2つの保険を利用できないケースもあるので気を付けて下さい。

以前、「介護保険」と「医療保険」2つの保険を併用ができないと言われたことがあるのですが、母が利用している訪問サービスの1週間のスケジュールと関わることなので焦ったことがあります。

母は、週3回(月・水・金)の訪問看護による点滴が基本となっていて、火と木曜日に訪問入浴と訪問リハビリテーションをそれぞれお願いしています。

在宅医の訪問診療は木曜なので、月2回木曜だけが訪問リハビリテーションと被っていました。

ここまでは問題はなかったのですが、母が骨折をして木曜日に整形外科に通院しなければならなくなったときに、介護保険と医療保険の併用が出来ないと言われたのです。

午前中の訪問リハビリテーション  介護保険

お昼の訪問診療          医療保険と介護保険

夜の整形外科の通院        医療保険

 

確かに、同日に2つの保険を使わなければなりません。

ただ、かかりつけ医の整形外科は、非常勤医師で木曜日しか診察していないこと。

骨折しているのに、痛み止めの薬ももらえないなんておかしいということになり、改めて調べ直していただきました。

在宅医や訪問看護ステーション、さらには整形外科の間を右往左往した末、診察は併用できるということが分かったのですが、2つの保険の併用は例外もあるのでかなりややこしいです。

「介護保険」と「医療保険」の併用については、ケアマネジャーや医療機関でさえも、ちゃんと把握しきれていない人もいるので納得できなければ複数の関係する機関に確認を取った方が良いでしょう。

 

条件が揃えば医療保険が優先される訪問サービス

原則、要介護認定者は「介護保険」優先ですが、訪問看護と訪問リハビリテーションは医師が治療の必要性があると認めた人は「医療保険」が優先されるケースがあります。

訪問看護で医療保険が優先される条件は下記3つです。

1.労働大臣が定める疾病等の方(別表7)

2.精神科訪問看護が必要な方(認知症は除く)

3.病状の悪化などにより特別訪問看護指示期間にある方

 

厚生労働大臣が定める疾病(別表7)について

別表7とは、厚生労働大臣が定める、医療保険による訪問看護が可能な疾病のことです。

別表7(厚生労働大臣が定める疾病)

①末期の悪性腫瘍   ②多発性硬化症  ③重症筋無力症    ④スモン ⑤筋萎縮性側索硬化症    ⑥脊髄小脳変性症  ⑦ハンチントン病   ⑧進行性筋ジストロフィー症   ⑨パーキンソン病関連疾患 ⑩多系統萎縮症     ⑪プリオン病   ⑫亜急性硬化性全脳炎     ⑬慢性炎症性脱髄性多発神経炎 ⑭ ライソゾーム病  ⑮脊髄性筋萎縮症  ⑯球脊髄性筋萎縮症       ⑰ 副腎白質ジストロフィー    ⑱後天性免疫不全症候群    ⑲頸髄損傷   ⑳人工呼吸器を使用している状態

 

難しい病名が並びますが、何となく抜き差しならない重病だということは分かります。

訪問リハビリテーションも医療保険が優先される方は、訪問看護と同じ条件です。

要介護認定を受けてない人で、訪問リハビリの必要性があると主治医が認めた人。

要介護認定者であっても、上記のように厚生労働大臣が定める疾病等の患者や急性増悪等の患者に限ります。

 

医療処置でも介護保険が優先するケース

母の介護保険について、素朴な疑問です。

「現在、訪問看護で主に点滴の管理を行ってもらっているのですが、医療処置なのだから医療保険が適用されるべきでは?」

「母が要介護2のとき、訪問看護にかかる費用の半分に対して医療保険が適用されていたのに、なぜ現在はすべて介護保険になっているのだろう?」

 

出費を抑えられるかもしれないので、ケアマネジャーに尋ねてみると、

医療保険は膨らんでいるので、厚生労働省が介護保険へ移行するように指導している現状、医療的な処置であっても訪問看護は基本的に介護保険が適用されるとのこと。

極端な話、昔は良くても今はダメだというのです。

納得できなかったので、訪問看護ステーションにも問い合わせをしています。

結果は同じでしたが、理屈が分かったので納得です。

 

厚生労働大臣が定める状態(別表8)について

厚生労働大臣が定める別表8と言われる「状態等」を記載しているものがあるのですが、その中に母の状態も該当するものがあります。

別表8 (特掲診療料の施設基準等に掲げる者)

①在宅悪性腫瘍患者指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者

②在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者

人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者

④真皮を越える褥瘡の状態にある者

在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者

 

赤字が、母が該当する状態なのですが、別表8は介護保険が優先されるとのこと。

この中でも、重症度が高かったり、特別な管理が必要な利用者は医療保険が優先されるようです。

低ナトリウム血症にならないように週3回の点滴をすることは、母が生きていくためには必要不可欠な医療処置なのですが、確かに容態は安定していて抜き差しならない状況ではありません。

 

おわりに

いかがでしたか!?

要介護認定者だと、原則「介護保険」が適用されます。

条件が合えば、介護保険と医療保険の使い分けで出費を抑えられるという感じですね。

費用的なメリット以外にも、保険の併用が出来ないことでデイサービスのリハビリなどを断念せざる得ないこともあり得るので、2つの保険の仕組みはざっくり知っておいた方が良さそうです。

制度のことまで詳しく知る必要はないですが、こういうことがあるのだと知っていれば現在利用しているサービスの見直しにも役立つかと思います。

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ABOUT US

シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。