「訪問入浴って、どうすれば利用できるの?」
「値段が高いのでは?」
興味はあっても、よく分からず尻込みされている方もおられるのではないでしょうか?
僕も、年月の経過と共に不自由な身体になっていく母を見て、この先自力で入浴ができなくなったらと思うと不安に思うときもありました。
今回は、訪問入浴がどのようなサービスなのか、条件や費用について解説いたしますので参考にしてみてください。
目次
訪問入浴のサービス内容
訪問入浴は、寝たきりや医療度が高く自宅の浴槽での入浴が困難な方に、訪問入浴車で自宅へ訪問し、入浴介助を行うサービスのことを言います。
部屋の中に専用の浴槽を設置して、寝たままの楽な姿勢でしっかり湯船に浸かれるのが特徴です。
訪問入浴サービスの流れ
人員は、看護スタッフ1名と介護スタッフ2名の計3名です。
- 体調チェック(入浴前):入浴前に看護師が利用者様の血圧、体温、脈拍等の測定をするほか、総合的な体調チェックを行い、入浴に問題がないか確認する。
- 入浴準備:体調チェックの間に、浴槽・水回りのホースなど設置。
- 移動(搬送):スタッフ3名にて、安全に浴槽へと移動。(基本的に簡易の担架を使用し、慎重に移動します。)
- 洗髪・洗顔:洗髪… 無理のない楽な姿勢で洗髪。洗顔…石鹸で泡を作り、優しく丁寧に洗顔。
- 洗体・シャワーニング:洗体…肌の露出に注意し、身体に負担をかけないよう楽な姿勢で安全に洗う。全身を洗い終えた後、ゆったりと温まる。シャワー…石鹸を残さないよう、全身をシャワーで洗い流す。
- 着衣:十分に身体の水分を拭き取り、湯冷めしないよう注意しながら着衣し、ドライヤーで髪を乾かす。
- 体調チェック(入浴後):入浴後も再び体調のチェックを行い、入浴による体調の変化がないか確認する。
訪問入浴は、ざっとこんな感じで進められます。
入浴自体は、約10分弱です。
所要時間は、準備からかたづけまで約40分というところでしょうか。
廃業された以前の業者は無かったのですが、現在お世話になる業者は月に1度体重を計測してもらえるので嬉しいですね。
訪問入浴の利用条件・準備するものは?
利用条件
訪問入浴を受けるには、次の条件を満たしていなければなりません。
1.要介護(1〜5)認定を受けている方
2.要支援(1〜2)の方は、自宅に浴室がない場合など、特別な事情がある場合に限り訪問入浴を受けられる「介護予防訪問入浴介護」がある。
訪問入浴サービスは、訪問入浴介護計画(ケアプラン)に沿って行われますので、訪問入浴を利用するには、まずはケアマネージャーに相談してケアプランを作成してもらうことが必要です。
あと、医療的な不安がある方は医師にも確認しておきましょう。
準備するもの
僕が、準備しているものは「着替え」くらいです。
シャンプー・リンス、ボディソープ、タオル類やドライヤー、それに入浴剤も業者で準備してくれます。
業者によっては、準備しなければならないものがあるかもしれないので事前に必要なものを確認しておきましょう。
訪問入浴メリット・デメリット
実際に訪問入浴を利用してみると、しみじみありがたい介護サービスだと実感している人も多いと思います。
メリット
- 温浴により、血行促進、身体機能が改善。
- 皮膚を清潔にすることで痒みが減少し、血行が良くなり床ずれの改善、解消といった効果が期待できる。
- 全身が温まり、浮力と水圧のあるお湯の中で体の関節を動かすことによりリハビリ効果が得られる。
- 全身の状態を確認でき、身体の変化をいち早く把握できる。
- かゆみ止めなど、塗り薬がつけやすい。
まあ、一番のメリットは、しっかりお湯に浸かれて安全に入浴させてもらえることですね。
家族の側からすると、着替えやおむつ交換など親の身の回りを一新してもらえるのも助かります。
デメリット
- 費用が高く、利用回数を増やせない。
- 他人に裸を見られるのがストレスになる場合がある。
デメリットは、全額負担だと1回12.560円する高額な費用。
母は、週1回利用しているので1か月50.240円になります。
実際に利用してみると、それだけの価値があるサービスだと実感でき1割負担で利用できることに本当に感謝しています。
ただ、介護保険限度額に余裕があっても、週2回にすれば自己負担額が月額1万円を超えるので利用回数を増やすことは厳しいですね。
また、介護限度額の枠が少ない方が訪問入浴を利用すると、他のサービスが自由に使うことができなくなります。
介護保険限度額がこの高額なサービスに占有されてしまうために、他のサービスを使う余裕がなくなるからです。
例えば、要介護1の利用限度額は、167,650円。
週2回利用すれば、月10万単位を超えてしまい、あとの残り6万円の枠で他のサービスをやりくりしなければなりません。
介護度の低い方は、コストのことを考えれば訪問入浴よりもデイサービスで入浴した方が良いと思います。
看護スタッフの医療行為の範囲は?
訪問入浴で同行する看護スタッフの行える範囲は、「バイタルチェック」「痰の吸引」「褥瘡(じょくそう)のケア」など。
基本的には、医療行為を行うことはできませんが、入浴前の体調チェックで体調が悪ければ部分浴や清拭にも変更可能です。
入浴後は、「爪切り」、「軟膏や保湿クリームの塗布」といったケアもお願いすれば行ってもらえます。
訪問入浴を開始する前に打ち合わせておくべきことは?
心臓や呼吸に関する病気がある人、骨折して動かしてはいけないところがある人はあらかじめ訪問入浴業者の方に伝えて対策してもらってください。
母の場合です。
左腕に、CVポートが入っているので圧迫厳禁。
血圧は右腕で測るように!
右足が、骨折の影響で負荷がかけられない。
浴槽に移動する際、足がぶらんとならないように足を支えて移動してもらえるようお願いしています。
サービス開始にあたり、事前にスタッフが下見に訪問されました。
車の駐車スペース、ポンプを循環させるための電気、水道、排水場所の確保ができるかどうかチェックするためです。
訪問入浴車には、灯油ボイラーが積まれています。
灯油ボイラーで沸かしたお湯を浴槽につなぎ、水道と浴槽をホースで中継する形になるので、自宅に駐車スペースがあれば望ましいです。
軽自動車で来られるので、そんなに広いスペースは必要ありませんが、マンションなど訪問入浴車から水を引けない場合は、自宅の浴槽からお湯を引くこともできるようなので相談してみてください。
あと、入浴は室内で行われますので浴槽を置くスペースを確保しておきましょう。
おわりに
訪問入浴サービスを使うまでは、自宅の浴槽で入浴介助をしていたのですが移行するタイミングが遅すぎたことに反省しています。
最後の方は、骨粗しょう症の影響なのか背中が湾曲して明らかに身体のバランスが悪くなっていたので危なっかしかったです。
入浴日の日曜の朝は、母も僕も疲れてヘトヘト。
今となっては、あんな危険な状態でよくやっていたと思わずにいられません(;゚Д゚)