高額の介護や医療費に対してお金が戻ってくる制度!「高額介護(介護予防)サービス費」「高額医療・高額介護合算制度」を解説




「老後資金として2000万円の蓄えが必要!?」

金融庁が指摘したレポートから論議を呼んで今や定説となっていますが、あえて机上の空論と言いたい。

一旦、病気や介護が必要になると、そんな計算は成り立たちません。

死ぬまで、健康であればこその試算です。

現に、母親は55歳から闘病生活をしていますが、わずか10年そこそこのあいだに1.000万円近く貯蓄を減らしています。

民間保険に加入していなかったことや、父親が定年後に年金を母親に渡さなかったこともありますが、それでも生活費以外に闘病生活を維持する費用が大きくのしかかっていたのは明白です。

おそらく、我が家のように親を支えておられるご家庭の中には金銭的な負担が大きく困っている人も多いかと思います。

そんな方に、介護や医療に使ったお金が返ってくる制度について調べましたので参考にしてみてください。

 

「高額介護(介護予防)サービス費」とは

「高額介護(介護予防)サービス費」は、介護サービスを利用したときに支払う1割~3割の利用者負担額の合計額について、負担が重くなり過ぎないようにするため、所得に応じて1か月の上限額を設定するものです。

上限額を超えた金額が「高額介護(介護予防)サービス費」として介護保険から後日払い戻されます。

利用者負担限度額は、下記の区分に応じて設定されているのですが、今月(令和3年8月)から現役並み所得者の方の利用者負担上限額が見直されます。

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補足

(世帯)とは、住民基本台帳上の同一世帯内で介護保険サービスを利用した方全員が負担する金額の合計の上限額のことです。                                     

(個人)とは、介護保険サービスを利用した本人が負担する金額の上限額のことです。

 

高額介護サービスの払い戻し額は、自己負担額負担上限額で計算できます。

世帯に介護サービスを利用する人が1人の場合

合計所得金額と課税年金収入額の合計額が80万円以下の方が、1か月の自己負担額が25.000円だとします。

25.000円から15.000円を引いた10.000円が払い戻し金額です。

世帯に介護サービスを利用する人が複数いる場合

世帯に介護サービスの利用者が2人以上いる場合は、全員分の利用料を足してから世帯の負担上限を超えた分を計算します。 

 

高額介護サービス費の対象にならない費用

世帯員全員が1か月の間に利用したサービス費の利用者負担額、サービス費用の1割または2割または3割が対象です。

なお、次の費用は対象にはなりません。

  • ショートステイでの滞在費や施設生活での居住費・食費
  • 特定福祉用具の購入費や住宅リフォームの負担
  • 理美容費など日常生活に関する実費
  • 支給限度額を超えて利用した際の利用者負担額

もともと、介護保険でも対象外の費用は高額介護サービスでも該当しないので注意してください。

 

支給限度額を超えて利用した際の利用者負担額について

仮に、要介護5の母が50万円分の介護サービスを利用したとして、利用者負担上限額の44.400円になることはありません。

あくまで、区分利用限度基準額の枠内での適用となり、介護サービス利用料は青天井とはならないです。

このケースの母親の支払額

【例】要介護5 介護サービスを50万円分利用した場合

区分利用限度基準額:362.170

自己負担額(1割): 約36.217

 

50万円-362.170円=137.830円

362.170円をオーバーした137.830円は、全額自己負担です。

母の支払額は、36.217円(介護サービス利用料限度額の1割)+137.830(オーバーした額)=174.047円になります。

 

「高額介護(介護予防)サービス費」支給までの流れ

この制度は、対象者に市区町村から申請書が郵送されます。

その申請書に必要事項を記入・押印して、お住まいの自治体の窓口に提出してください。

申請が受理されると、申請時に指定した口座に振り込まれます。

高額介護サービス費の申請手続きは初回だけです。一度申請すれば、後は継続的に払い戻しが行われるので再度申請は必要ありません。

高額介護サービス費の申請には期限があります。

期限は、介護サービスを利用した翌月を初日に2年以内です。

 

高額医療・高額介護合算制度とは

「高額医療・高額介護合算制度」は、医療と介護の両方のサービスを利用している世帯の負担を軽減する仕組みです。

各医療保険の世帯ごとに、1年間(8月~7月末)に支払った「医療保険」と「介護保険の自己負担の合計が基準額を超えた場合に、その超えた金額が戻ってきます。

基準額は、各世帯の所得区分に応じて異なります。

 
所得区分 70歳以上 70歳未満
年収約1160万円~              課税所得:690万円以上           標準報酬:月額 83万円以上 212万円 212万円
年収約770万円~約1160万円         課税所得:380万円以上            標準報酬:53万~79万円 141万円 141万円
年収約370万~約770万円        課税所得:145万円以上            標準報酬: 28万~50万円 67万円 67万円
一般(年収156万円~370万円)     健保 課税所得:145万円未満            国保・後期 標準健保:26万円以下              56万円 60万円
市町村民税世帯非課税 31万円 34万円
市町村民税世帯非課税     (所得が一定以下) 19万円 34万円

対象となるのは1年間(毎年8月1日から翌年7月31日)に支払った自己負担額です。

70歳未満の方と合算する場合は、1か月1件21,000円以上の自己負担額が対象となります。 

 

「高額医療・高額介護合算制度」支給までの流れ

まず、市区町村に介護に関する自己負担の証明書を取得してから加入している「医療保険」(後期高齢者医療制度、国民健康保険、会社の健康保険など)へ申請してください。

  1. 市区町村に「支給兼自己負担額証明書交付申請書」を提出して、介護保険自己負担額証明者の交付申請を行う。
  2. 市区町村から「自己負担額証明書」が交付されるので、加入している医療保険にこの負担額証明書を添付して高額介護合算療養費の申請を行う。

 

その後は、医療保険者(健康保険組合等)が支給額を計算し、介護保険者(市区町村)に計算結果(支給額)を連絡して、医療保険者、介護保険者それぞれから「高額介護合算療養費」「高額医療合算介護サービス費」として支給されます。

補足

後期高齢者医療制度、国民健康保険については、お住いの市区町村の保険業務担当で申請できます。

会社の健康保険などに加入されている方は、勤務先にお問い合わせください。 

 

おわりに

今回は、「高額介護(介護予防)サービス費」「高額医療・高額介護合算制度」についてでしたがいかがでしたか?

自己負担が、所得段階別の一定額を超えたときに戻ってくるお金という点は高額療養費制度と同じですが、この2つの制度は対象者に市区町村からお知らせがあるのが救いです。

なので、この2つの制度については高額の介護費や医療費に対してお金が戻ってくる制度としてざっくり知っておくだけで構わないと思います。

もしかして、該当するのでは!?と思われる方は、一度計算して確認したり、ケアマネジャーが対応してくれると思うので相談してみてください。

 

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ABOUT US
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シンイチ
20年間、犬馬車のように結構まじめに働いてきた40代の元リーマン。 長らく会社勤めと在宅介護で消耗しきって、あえなく2年前に介護離職してしまいました。 介護は、それぞれの御家族にそれぞれの事情があります。 現代の社会問題に、このプログを通じて1人でもお役に立てれば嬉しいです。 長年、在宅介護をしている僕だからこそ、あなたに伝えたいメッセージがあります。